みなさんは、いつも、どのような酒器で日本酒を飲んでいらっしゃいますか?
いつも同じ酒器で飲んでいる、という方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、それではもったいないですよ!
なぜなら、日本酒は器によって、味わいが変わるからです。器を変えてみたら、同じ日本酒でも全然違う雰囲気になるんです!
ということで、今回は、「日本酒の味」と「酒器」の深い関係についてご紹介します!
もっともっと日本酒を楽しみたい方、ぜひご覧ください。
ポイントは3つ
巷にはたくさんの種類の酒器があふれています。
陶器のどっしりした酒器、ガラスでできた筒状の酒器、背の低い小さな酒器・・・。
ここでは、そんなたくさんの種類のある酒器を、3つのポイント(容量、材質、形状)で分類し、その特徴を、日本酒の味わいに着目してご紹介していきます!
容量
お酒の入る容量の違いは、見ればすぐわかりますね。
大半の方は、酒器の容量の違いは、入る日本酒の量の違いでしか認識していないかもしれませんが、実は、この容量の違いも、日本酒の味わいに影響を与えています。
以前、”日本酒は、5度の温度の違いでも味わいが変わる”とご紹介したのですが、この温度の違いに、酒器の大きさも関係してきます。
というのは、酒器が大きければ大きいほど、注いだ日本酒を飲みきるのに時間がかかるので、日本酒の温度が上がってしまうのです。冷蔵庫から取り出したときは「冷酒」だったのに、最後の方は常温になってしまって、味わいが変化することがあります。
温度の変化を楽しむのも一つの楽しみ方だと思いますが、冷たい日本酒を楽しみたいときは、温度変化の少ない、小さな酒器で飲むと良いでしょう。
材質
陶器、磁器、ガラス、漆、木、竹、錫(すず)などなど、材質の違いにも着目してみましょう。
材質の違いは、見た目に大きな影響を与えるので、雰囲気がガラッと変わります。
例えば、陶磁器など和風の酒器に入れると、どっしりした印象になります。熱燗は陶磁器の酒器だと雰囲気も出ますよね。また、ガラスの酒器に入れると、華やかな雰囲気になります。
おつまみにチーズやカルパッチョなど洋風のものを取り合わせたいのなら、その場の雰囲気作りにも、ガラスの酒器だと良いかもしれませんね。
また、材質の違いによって、雰囲気だけでなく、日本酒の味わいにも変化が出ます。熱伝導の速い「錫」の酒器は、冷酒を飲むのにぴったりでしょう。
他にも、いくつか代表的なものをご紹介すると、
- ガラス
- ・・・クリア、シャープ、軽やか
- 陶器
- ・・・柔らか、まろやか
- 磁器
- ・・・すっきり
- 漆器
- ・・・温かい
と、日本酒の味わいも変化すると言われています。
大吟醸などの繊細なお酒は、軽やかな味わいになるガラスの酒器で、純米酒や山廃などの味のしっかりしたお酒は、柔らかな味わいになる陶器の酒器で飲むと、お互いの良さが相乗効果されるのでオススメです。
ただ、このお酒はこの酒器で、という決まりはないので、いろいろ試してみるといいかもしれませんね。
形状
平皿型、ラッパ型、ワングリ型、ストレート型、などなど、酒器の形状には様々なものがあります。「この形すき!」という好みで選ぶのももちろん構いませんが、酒器の形状は、大きく日本酒の味わいにも影響を与えているので、いくつかご紹介しますね。
平皿型
口の大きく開いた平皿型の酒器は、他のどの酒器よりも芳醇な香りを漂わすことが特徴です。また、空気と触れる表面積が広いので、お酒の雑味が増えてしまう酸化の速度や、アルコールの揮発速度も速い、というのも押さえておくと良いでしょう。
加えて、平皿型の酒器だと、口を横に開いてお酒を飲むので、お酒が舌全体に一気に触れることになり、甘味、酸味、旨味が混ぜ合わされたような、複雑な味わいになると言われています。
ラッパ型
ラッパ型も、平皿型と同じように、香りを楽しむのにはぴったりです。平皿型の酒器よりも持ちやすく、手軽に使うことができるのが利点です。香りの高い、吟醸酒や大吟醸酒がおすすめです。
ワングリ型
ワングリ型とは、背が低めで太さの変わらない酒器のことを指します。このワングリ型の底に、青い同心円の二重丸(これを蛇の目と言います)が描かれているものを見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
そのような蛇の目の描かれたワングリ型の酒器は、利き酒をするときに使うものです。利き酒師は、蛇の目を日本酒の色や透明度を判断するのに、目安として使っています。
色のついたお酒や少し濁ったお酒を飲むときに、みなさんも使ってみてください!
ストレート型
背の高いストレート型のものでお酒を飲むと、すっきりとした味わいになります。辛口がお好きな方は、よりドライな味わいになるストレート型で飲んでみてもいいかもしれませんね!
また、ストレート型に入れたお酒は、空気と触れる表面積が少ないので、飲んでいる間に酸化や揮発しにくいので、そのお酒本来の味わいを楽しみたい方にもおすすめです。
まとめ
様々な酒器を、「容量」「材質」「形状」の3つのポイントで分類し、さらに、酒器による日本酒の味わいの変化をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
「本当にそんなに変わるのかな?」と疑問をお持ちになった方もいらっしゃると思いますが、ぜひ、同じ日本酒を酒器を変えて飲んでみてください!きっと味わいの変化に気づくと思いますよ。