コラム

直接言うのは芸がない。女房詞で柔らかく

普段から使っている日本語について考えたことはありますか?大昔から絶えず変化し続けてきた言葉たち。その中には変わらずに残っているものも多くあるんですよ。

はっきりとは言いません

女性

変化せず残っている言葉とは、例えば女房詞(にょうぼうことば)です。女房詞とは室町時代の初め頃から使われている宮中などに使える女性たち、つまり女房たちの言葉です。

隠語として使われていたものなのですが、後に将軍家や下町の女性たちにも広まっていきました。口に出すのが憚られるような単語を暗に伝えたり、そのまま発音するより柔らかく言いたい時に使われたようです。元は宮中の女性が使っていたので高貴な言葉という位置づけでした。

実は普段使っているかも

女性

では実際に女房詞を挙げてみましょう。まずは今も残っている言葉から。

おかず、おもちゃ、きな粉、お冷や。
これらの意味はもちろん分かりますよね。私達が普段から耳にする言葉です。おかずはもともと「お数」。たくさん数を揃えることからつきました。おもちゃは「持ち遊ぶ」が「もちゃそぶ」→「もちゃ」と短くなってゆき、丁寧語の「お」がついておもちゃ。きな粉は漢字で書くと「黄な粉」。黄色い粉ということです。そのままですね。お冷やも、温かければ「お湯」になってしまうから冷たいのは水ですよね。

ではここからの言葉は分かるでしょうか。

お長もの、おすもじ、ひともじ、波の花、いしいし。
これらは今ではほとんど使われていない言葉ですね。では正解発表です。
お長もの→うどん、おすもじ→お寿司、ひともじ→葱、波の花→塩、いしいし→団子です。
分かりましたか?

うどんは長いから(言わずもがなですね。)。お寿司は酢飯を使うから酢に「もじ」をつけておすもじ。(女房詞の「もじ」という表現については以前の「シンプルだけどなくてはならない、しゃもじは日本人の相棒」をご覧になって下さい。)ひともじというのは、ねぎが昔は葱(き)と一文字でよばれていたことからです。波の花が塩なのはなんとなく分かる気がしませんか?塩は海から採れていたからですね。いしいしは、「おいしい」から来ています。美味しい食べ物は他にも色々ありそうですがお団子は特に美味しかったのでしょうか・・・?

終わりに

婉曲表現として使われていた女房詞ですが、みなさんが知ってどう思いましたか。昔から日本人は言葉一つにもこんなに気を使っていたのです。私たちも見習いたいものですね。

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