突然ですが、みなさん、知っているお米のブランドを思い浮かべてみてください。
まず、みなさんの頭に浮かんできたのは、「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」、「あきたこまち」、「ササニシキ」等でしょうか。それから、北海道の「ゆめぴりか」や山形の「つや姫」、九州地方の「ヒノヒカリ」なんていうのも最近有名になってきているので、次いでそれらを想像した方もいらっしゃるかもしれません。
(または、ご出身の銘米を挙げた方もいらっしゃるでしょう。日本は全国各地においしいお米のブランドがありますからね。)
では、「亀の尾」ってご存知ですか?
「そんなお米のブランド知らないなあ」という方が大半かと思います。しかし、この「亀の尾」というお米の品種は、今みなさんが想像したであろう、そうそうたるお米の一流ブランドの多くの祖先なのです。
今回は、このとても重要な「亀の尾」というお米についてご紹介します。
そもそも、どうしてお米っていろんな種類があるの?
日本には、全国各地に銘米があり、国に品種登録しているのは500種類以上もあるんです!では、なぜこんなに多くのお米の品種があるのでしょうか?
その理由は、お米のルーツと、日本の国土の特徴にヒントがあります。まず、お米のルーツについてです。お米は今や、日本人に欠かせない主食になっていますが、もともとは、熱帯地方の原産なのです。
ですから、それをそのまま日本で育てようとしても、しっかり育つわけがありません。そのような理由で、まず日本の気候に合うようにお米は品種改良されました。
それから、日本の国土の特徴についても探ってみましょう。
日本の国土は、南北に長く、山脈が多い。つまり、日本とひとくくりに言っても、各地で気候も日照時間も全然違うのです。それぞれ自分の土地で元気に育つお米へと品種改良していった結果、「寒さ/暑さに強い」「病気に強い」などの特徴を備えた様々なお米の品種が誕生しました。
そんなお米品種改良の祖先、それが「亀の尾」なのです。
亀の尾あれこれ
「亀の尾」は、明治時代に山形県の篤農家、阿部亀治によって育成されました。これは、東北地方の寒い気候でも育つ、冷害に強い品種で、かつ、飯米、酒米、寿司米のいずれの用途でも高く評価されていた優れた品種で、当時はとてももてはやされました。
しかし、現代となっては、お米の品種として一番二番に挙がるものではありませんよね。それは、お米を育てる際に、化学肥料を使うようになってから、他の品種でも「亀の尾」が売りにしていたことが、実現されるようになってしまい、またそれと同時に、「亀の尾」の“稲丈が高くて倒れやすい”という欠点が目立つようになってしまった、ということが関係しているのです。
このような理由で、「亀の尾」はあまり栽培されなくなってしまいました。
とは言っても、「亀の尾」の優秀な遺伝子は、水稲種の交配親として、「コシヒカリ」や「ササニシキ」、「ひとめぼれ」、「あきたこまち」と言った品種を生み出したので、今でもそのDNAは受け継がれています。
あの宮沢賢治も「亀の尾」を使った?
岩手が生んだ、童話作家、宮沢賢治。彼は、盛岡高等農林学校の出身であることも有名ですよね。
彼は、冷害が多い、東北においてでもしっかり育つお米を作ろうと、お米の品種改良をしたのですが、そのときに使ったのが、「亀の尾」なのです。「亀の尾」が当時、優良品種だったことが窺えます。
いかがでしたか?
「亀の尾」という品種に、また、日本のお米に興味をお持ちいただけたら嬉しいです。
他の品種にお米ブランドの座を持って行かれたとは言っても、お米屋さんに行けば、今でも手に入るお米なので、機会があればぜひ食べてみてください!
宮沢賢治に思いを馳せながら食べてみてもいいかもしれませんね。
ベタ塗りに白抜きのボーダーは手間がかかるから、ありそうでなかった柄。そして初めて持った時、あまりの軽さにあなたはきっと驚くはず。']