暑いときは、涼しくするためにどんなことをしますか?家電製品に頼ったり冷たいものを食べたりするのもいいですが、怪談をしてみるというのも面白いですよ。実際に体温が下がるのかはさておき、夏に怪談というのは日本ならではですね。
怪談といえば妖怪
怪談にはいろいろありますが、昔ながらの妖怪が出てくる話が断然風流な気がします。では、有名どころの妖怪を挙げてみましょう。
- 天狗
- 山に住んでいて、災いをもたらすこともあれば人助けをすることもあったりと、良いのか悪いのかわからない妖怪。山伏の格好を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。天狗という名前は、中国での災厄を運ぶ流星の名前からきているようです。
- ろくろ首
- 首が異様に長いか、または首が体から離れて浮遊する妖怪。人間に噛み付いて殺したり、血を吸ったりするといわれています。昼間は普通の人間と何ら変わらず、夜になると正体を現すとされています。ろくろ首は女性が多いようですが、稀に男性のろくろ首が登場する話もあります。
- 河童
- 水中に潜んで人馬を引きずり込んだりする、悪戯好きな妖怪。九州地方でよく語られますが、発祥は不明です。キュウリが好物なのも有名な話ですね。九州地方では、春は川で河童としているが、秋頃になると山に入って山童(やまわろ、やまわらわ)になるとの説もあります。
河童をピックアップ
上に挙げた中で特に親しまれているのは河童でしょう。人間に害をなす妖怪ですが、懲らしめると反省して人の手助けをしたり万能薬をくれたりすることがあるそうです。これほど現代に馴染んでいるのはそういう側面があるからかもしれません。
河童の頭には大抵お皿が乗っていますよね。そのお皿の中には水が入っていて、水がなくなったりお皿が割れると弱ってしまうか死んでしまうとか。河童は相撲好きでも知られていますが、勝負の前にお辞儀をすると水が溢れて弱くなるという話も・・・。
そんなことが弱点なんて、なんだか可愛らしいような気もします。でも、昔の文献の中には、河童は頭頂部がくぼんでいるという記述があって、そこにはお皿が乗っているとは書いていないものもありました。今でこそ河童の装備としてお皿は必須ですが、もともとはただのへこみだったのかもしれません。
ここで、河童が登場する話を一つご紹介しましょう。
昔、岩手の八戸に八太郎沼という沼があった。ある日、男がその沼の近くを通りかかると、どこからともなく一人の若者が現れて「この手紙を、勘太郎堤に住む私の仲間に届けて欲しい。」と言った。男は了承して勘太郎堤へ向かったが、途中で山伏に出会った。山伏は男を見るなり、「お前の持っている手紙からただならぬ殺気を感じる。」と言った。
そこで男は山伏に、さっきまでの出来事を話した。山伏が手紙を開いてみると、それは白紙だった。しかし、山伏が手紙を水につけると「この男はうまそうだから食べてしまえ。」という文字が浮かび上がった。河童の手紙だと悟った山伏は、手紙を書き変え、「この男にお前の宝物をあげてくれ。」として去っていった。
男は勘太郎堤に着くと、若者に教えられた通りに手を3回叩いた。すると、若者が現れたので手紙を渡した。若者は手紙を読むと、不審そうな顔をしながらも男に宝箱を渡した。男はその中に入っていた財宝によって大金持ちになった。
一方、宝をあげた方の河童は腑に落ちず、八太郎沼の河童にそのことを聞いたが、当然覚えがないため二人の間で大喧嘩となってしまった。それ以来、どちらの沼でも人が襲われることがなくなった。
一つの物語の中で二人の河童が出てくるのは珍しいのではないでしょうか。河童は一体全国にどれくらいいると思われていたのでしょう・・・。
終わりに
親しみやすい妖怪を選んだので、今回の話ではあまり涼しくならなかったでしょうか。河童は想像上の生き物だと言われていますが、河童のミイラや河童の詫証文などといったものが日本にあるそうです。実は実在したのだということになったら日本中が興奮するでしょうが、悪さをするということを考えれば想像にとどまっていてもらった方がいいかのもしれませんね。
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