伝統工芸品

漆器の魅力とは?手入れの方法や贈り物におすすめのブランドを紹介

漆器は普段使いができるうえに伝統的な魅力もあるので、贈り物に最適です。そこで今回は、漆器の特徴や魅力について詳しく解説していきます。

さらに、漆器のプレゼントを贈りたいけれど、どのように選べば良いかが分からないという人のために、贈り物に向いている漆器ブランドやおすすめの漆器をいくつかご紹介します。手入れ方法や漆器の種類についても解説するので、伝統工芸品に興味がある人も、ぜひ参考にしてくださいね。

漆器とは?

漆器とは、漆を塗った器や道具のことです。同じ漆科の植物を使った「カシュー塗装」や化学的に合成された「ウレタン塗装」が施されたものも漆器と呼ぶ場合もあります。しかし、カシュー塗装やウレタン塗装は合成漆器に分類され、伝統的な漆器とは、一般的に天然の漆を使ったものです。

漆とは?

漆(ウルシ)の木は、傷をつけると木を保護するために、乳白色の樹液を出して固めます。漆の木の樹液は、昔から塗料や接着剤として生活に活用されてきました。漆器に使用する漆は樹液を精製して使用し、精製の具合によって、以下のように分けられます。

・生漆(きうるし)…ろ過してごみを取り除いただけのもので一般的な漆の元となる
・透漆(すきうるし)…生漆をかき混ぜて漆の成分を均一にする「ナヤシ」や余分な水分を取り除く「クロメ」などの精製作業を行ったもので、透明な飴色の状態のもの
・色漆…透き漆に顔料などを混ぜたもの
・黒漆…鉄粉を混ぜて酸化作用によって漆を黒くしたもの

日本の漆は、気候や風土に合ったものが採取できるため、海外産の漆に比べて主成分ウルシオールの割合が多く、品質が高いとされています。

長い歴史のある漆器の魅力

縄文時代から活用が確認されるなど、日本では古くから漆が使用されています。現代においても、伝統工芸品に使用されるなど、漆は人々の生活に欠かせないものです。漆器にも長い歴史がありますが、長きにわたって活用されるには理由があります。

使い込むほどに増していく美しさ

漆器は、漆によって上品な艶が生まれるのが特徴です。漆器の艶は、使い込むほどに美しくなり、艶と味わいが増していきます。

日本では古くから、透漆・色漆・黒漆の組み合わせや金箔などで飾りを付ける「加飾」によって、芸術的な数々の漆器を生み出してきました。海外でも収集家が多く、漆や漆器は「ジャパン」と呼ばれることもあります。

伝統工芸品にふさわしい、優れた耐久性

漆の塗膜は堅く、一度固まると塩酸や硫酸でも溶けないくらい頑丈になります。酸、アルカリ、塩分、アルコールにも強く、耐久性に優れているのも特徴です。接着剤としての役割も持ち、陶磁器を修復する「金つぎ」にも使われてきました。

漆は塗り重ねるほど強固になるので、万が一欠けてしまっても塗り直して修復することができます。耐久性に優れているという特徴から、伝統を受け継ぐ工芸品に最適の素材として長きに渡って重宝されてきました。

水をはじく漆の性質を活かした耐水性

漆は固まると水をはじく皮膜を作るため、耐水性に優れています。漆器といえば、汁椀などが定番ですが、液体が漏れる心配もありません。手入れの際は、水やぬるま湯で洗うこともできます。

熱い汁物を入れても持ちやすいほどの断熱性

木を土台とした漆器の汁椀は、断熱性が高いのも特徴です。陶器の場合は持ち手が付いていない限り熱くて持てない場合がありますが、木製素材の漆器は熱が伝わりにくいため、中に熱い汁物が入っていても手で持てます。断熱性が高いため、熱い汁物が冷めにくく、最後まで温かい汁物が楽しめます。

食中毒を防ぐ、おせち料理にも適した防腐性

漆は防腐性にも優れているため、昔からおせち料理を漆器の重箱に入れています。漆器の重箱は、見た目が美しいのはもちろんのこと、食中毒のリスクが軽減できます。

衛生面に嬉しい抗菌作用

漆には抗菌作用があり、科学的に実証されています。京都漆器工芸組合が調査した研究によると、大腸菌、サルモネラ菌、MRSA、腸炎ビブリオなどを漆の塗膜に付着させ、経過を測定したところ、24時間後には0になるという調査結果が得られました。ご飯を盛り付けた後にも細菌の繁殖を抑えるという働きがあるため、小さな子どもや高齢者が使う食器など、特に衛生面に注意したい場合はおすすめです。

参考:京都漆器工芸協同組合|抗菌試験検査報告書

漆器は、普段使いすることがお手入れになる

伝統工芸品である漆器は、扱いが難しそうというイメージがあるかもしれません。実際に気を付けなればならない点はいくつかありますが、漆器は扱いやすくて丈夫な製品です。

毎日使って洗ったときに少しずつ水分が行き渡ることによって、美しい経年変化も楽しめるようになります。つまり、漆器は、使った後に洗って拭くという普段使いそのものがお手入れになるのです。

取り扱う際の注意点

漆器の普段のお手入れは、使った後に食器用洗剤とやわらかいスポンジで水洗いまたはぬるま湯洗いを行います。つけ置き洗いも可能ではありますが、一晩中浸けておくなど長時間のつけ置きはNGです。食器洗い器や乾燥機は、漆の劣化が早くなるため避けましょう。洗った後は、乾いた布で乾拭きするのがおすすめです。

加えて、オーブンや電子レンジには使えず、直火での使用も禁物。また、金属製のスプーンやフォークなどのカトラリーは、傷を付けてしまう恐れがあります。

漆は紫外線に弱いという特性があり、食器を乾かす際や保管する場所に直射日光が当たると漆が傷む恐れがあることにも、注意しましょう。

漆器に使われる素材とは?

漆器の土台となる素材は、木曾ヒノキやケヤキなどの高級木材を使用したものから、樹脂製(プラスチック製)まで種類はさまざま。こちらでは、一般的に流通している漆器の土台となる素材別に、それぞれの特徴をご紹介していきます。

さまざまな種類がある木製

最も一般的なのが木製の素材です。椀、箸、重箱など、形状や用途によって木の種類が使い分けられます。欅(ケヤキ)、ミズメ桜、栃(トチノキ)、センノキなどが使われますが、欅(ケヤキ)は木目が美しく、 最高級の木とされています。

木粉と樹脂の成型品(木紛加工品)

木の粉と樹脂を混ぜて固めたものを木紛加工品、天然木加工品、木乾などといいます。木製に比べると多少重たくなるものの、リーズナブルな価格で、複雑な形に成型できるのが特徴。木製に比べると指で弾いたときに硬い音がします。プラスチックよりは木の質感に近づけることができ、安価で漆器の感覚を味わえるのが魅力です。

プラスチック、ABSなどの樹脂製

樹脂製の漆器は合成樹脂のみを固めたものなので、木製や木紛加工品に比べると風合いや質感が落ちてしまいます。また、樹脂製の漆器は熱が伝わりやすいため、皿、箸、重箱などに使われるのが特徴です。

近年は、伝統工芸品のような見た目の美しさにこだわりながらも機能性を上げるべく、樹脂製の素材でウレタン塗装を施した電子レンジ可能な商品や食器洗い乾燥機対応の商品も数多く展開されています。

オンラインで購入できる漆器のおすすめブランド

洋食器にブランドがあるように、漆器にも有名な人気ブランドがあります。代表的な漆器ブランドは、「山田平安堂」。1919年に創業し、宮内庁御用達ブランドとして多くの人に愛されています。一般向けギフトはもちろんのこと、海外向けギフト、法人向けギフトなどが充実しているのも特徴です。

バリエーションの豊富さで人気なのが「漆器かりん本舗」です。品揃えが豊富で検索機能も充実しており、種類別・素材別にカテゴライズされているので、探したいものが見つかりやすいでしょう。

山田平安堂」「漆器かん本舗」は、どちらもオンラインで購入できます。

山田平安堂:https://www.yamada-heiando.jp/
漆器かりん本舗:https://www.rakuten.ne.jp/gold/karinhonpo2951/

贈り物におすすめの漆器5選

伝統工芸品である漆器は、特別感や高級感があります。結婚祝い、出産祝い、長寿祝いなどそれぞれの節目に贈ると大変喜ばれるでしょう。海外の人へのプレゼントとしてもおすすめです。こちらでは、贈り物におすすめの素敵な漆器を5点ご紹介します。

漆器 伝 TSUTAE 夫婦汁椀

東出漆器の夫婦汁椀は、山中塗伝統の技とこだわりをとことん詰め込んでいます。山中塗とは、400年もの歴史を持ち、石川県加賀市の山中温泉地区で作られる漆器です。国産木製漆器シリーズ「伝」の夫婦汁椀は、天然木の木目の美しさや漆塗りならではの温かみを感じることができるでしょう。

素材は、木目が美しく 最高級の木とされる欅を使用しています。モダンなイメージもある汁椀なので、海外の人や若い人へのプレゼントにも向いています。

漆器 伝 TSUTAE ロックカップ ペア

先にご紹介した夫婦汁椀と同じく、東出漆器による山中塗の国産木製漆器シリーズ「伝」の ロックカップです。ロックカップとしてウイスキーなどの冷たいお酒を楽しむのはもちろんのこと、焼酎のお湯割りやコーヒー、お茶などの温かい飲み物を楽しむこともできます。

土台となる素材は 天然木(欅)のため、熱い飲み物を入れても持ちやすいのが特徴です。また、熱の伝わり方が穏やかで、温かい状態を保つことができます。スタイリッシュな見た目のため、年齢を問わず幅広い世代に贈れるペアカップです。

丸取皿 赤溜 パール金属 漆器彩 クリーンコート K-6123

外形16cmの丸取皿。撥水性が高く、汚れがつきにくいクリーンコート加工が施されています。素材は樹脂、表面はウレタン塗装ですが、電子レンジ可能、食器洗い乾燥機対応可能と、高い機能性が特徴です。

シンプルで使いやすく、和食・洋食・中華など、どのような料理にもマッチ。美しいものを使いたいけれど、機能性は捨てがたいという人への贈り物に最適です。使いやすいので、数枚セットにして贈ると喜ばれるでしょう。

会津漆器〜21cm木製ドットサークル塗箸/ブラウン

会津漆器の歴史は古く、本格的に漆工芸が根付いたのは、天正18年(1590)といわれています。会津漆器は、長い歴史の上に常に最新技術を取り入れ、今もなお成長を遂げています。

こちらの塗箸の土台は木製で、ポリエステルとウレタン塗装を施すことによって、食器洗い乾燥機の使用が可能になりました。持ち手部分にはキュートなドット柄が入っており、シンプルながら愛さらしさがあります。毎日使うものだからこそ、見た目が美しく機能性が高いものが良いという人におすすめのアイテムです。

スプーン 茶赤溜 パール金属 漆器彩 K-6155

口当たりが良く、使いやすい漆器のスプーン。山中塗の技術を活かし、見た目の美しさにこだわっています。樹脂素材でウレタン塗装されているので、食器洗い乾燥機に対応しています。

撥水性が高く、汚れがつきにくいクリーンコート加工も施されているので、日常使いのスプーンとして活躍するでしょう。アイスクリームやゼリーなどスイーツを食べる際にも向いており、甘いものが好きな人へのプレゼントにおすすめです。

まとめ

漆器は、見た目の良さだけではなく、耐久性・耐水性・断熱性・防腐性・抗菌性に優れた伝統工芸品です。日頃の感謝の気持ちやお祝いの気持ちを伝えるプレゼントとして贈ると喜ばれるでしょう。ガラスや陶器と異なり、割れにくく欠けにくくて頑丈なことから、ペアで贈るのにも向いています。

ハレトケギフトは「ハレの日に心のこもった贈り物を」をコンセプトに、漆器のほかにもさまざまな伝統工芸品をご紹介しています。カテゴリや工芸品名からプレゼントを検索することも可能なので、プレゼント選びの際はぜひ活用してみてください。

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