江戸切子

江戸切子の模様は何種類?伝統的な模様14種類の特徴と意味も合わせて解説

東京を代表する伝統工芸品・江戸切子。豪華なカットが場に華やかさを添えるのが魅力で、現在も大勢の人から人気を集めています。

そんな江戸切子には模様の種類がたくさんあります。伝統的なものはもちろん、最近になって新しく作られたものまで様々です。

本記事では、江戸切子の模様の種類と伝統的な模様のなかでも代表する14種類について詳しく解説します。江戸切子の模様に興味がある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

江戸切子の模様は無数にある

江戸切子の模様の種類は、数え切れないほどたくさんあります。伝統的な模様をアレンジするほか、アニメやお店とのコラボを通して毎年新しい模様が生み出されているのです。フォーマルなお祝いの贈り物から、お手軽なグッズまで様々なニーズに応える模様が日々作られているのが、江戸切子が人気の理由の1つと言えます。

伝統的な模様

江戸切子の生産が始まった江戸時代後期からずっと使われているのが、矢来文や魚子文などの伝統的な模様です。動植物や自然現象から着想を得たものが多く、幾何学的なデザインが多い傾向にあるのが特徴。

魔除けを意味する籠目文や、縁起が良いとされる麻の葉文などもあり、伝統的な模様は結婚祝いのような大切なお祝い事の贈り物に人気があります。

新しく生み出される模様

今もなお新しい模様が生み出され続けている江戸切子。伝統的な模様をアレンジしたものから完全オリジナルのものまで、作者やデザイナーこだわりの意匠がたくさんあります。

八角籠目文にヨーロッパのデザインを取り入れ、トールグラスに合うよう創られた「ダイヤモンド八角籠目」は代表例の1つです。

アニメやお店とのコラボ

最近では、アニメグッズやお店とのコラボ商品としても江戸切子が登場しています。

名探偵コナン」に登場するキャラクターをイメージしたカットを施したものや、「進撃の巨人」の調査兵団のエンブレムをあしらったものなど、デザインのバリエーションはとても豊富です。

その他、コーヒーチェーン店や宝飾品店とコラボした模様もあり、江戸切子は意外と身近なところにある伝統工芸品とも言えます。

江戸切子の伝統模様14種類の特徴・意味

江戸切子には無数の模様の種類がありますが、やはり伝統的な模様の人気は根強いもの。結婚祝いのようなきちんとした場面の贈り物はもちろん、アレンジを加えた新しい芸術作品やキャラクターグッズなどに取り入れることもあり、現在も良く見かけます。

ここでは伝統的な模様のなかでも特に代表的な14種類について解説します。

【江戸切子の伝統模様1】矢来文(Yarai)

矢来文は、竹を交差させて作る「矢来」と呼ばれる囲いをイメージした模様です。昔の日本の住宅のなかには矢来で家を囲んだものもあり、外敵から自分たちを守ることから魔除けの効果があるとされています。

斜めの線を一定間隔で引いていき、ひし形のようにクロスさせてカットするのが一般的。斜め45度にカットするのが基本で、器の形やデザインを考慮しながら縦長にしたり横長にしたりします。

現在も工房や職人ごとに様々な模様が派生して生み出されており、江戸切子によく使われる模様の1つです。

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【江戸切子の伝統模様2】魚子文(Nanako)

魚子文は、魚卵の粒から着想を得た伝統的な模様です。古来、魚は「魚(な)」と呼ばれていたことから、「魚子(ななこ)」という読み方になりました。

切子の世界では魚のウロコが重なったように見えるものを魚子文と呼び、小さな粒感が特徴的な模様です。また、ウロコの数の多さから転じて、子孫繁栄や豊かさを願う縁起の良い模様です。

カット面は繊細で、光が控えめに反射します。他の模様と模様のすき間を埋めるときに使われることもあり、さりげなく華やかさを加えてくれるのが魅力です。「ななこ」の語呂合わせで、7月5日は「江戸切子の日」に制定されているとのこと。

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【江戸切子の伝統模様3】麻の葉文(Asa-no-ha)

江戸切子が誕生する前から衣服や芸術作品に取り入れられ、特に歴史のある模様の1つである麻の葉文。麻は成長が早い植物であることから、意味が転じて健康や子どもの成長を願う縁起の良い模様です。

江戸切子で表現するときは、縦・横・斜めの線を組み合わせた6枚葉のものや、細長いひし形の葉を扇状に配したものなどバリエーションがとても豊富。アレンジを加えたものを見かけることもあり、汎用性の高い模様です。

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【江戸切子の伝統模様4】七宝文(Shippo)

七宝文は、仏教用語に由来する文様です。仏典に登場する金・銀・瑠璃などの7つの宝を表現しており、葉っぱの先端同士がくっついて円のような形になっているのが特徴。江戸切子では中央に星をあしらったものや楕円形に引き伸ばしたもの、空間に装飾を加えた華やかなものなど様々なアレンジがされています。

円がいくつも連続することから、人間関係の縁を結ぶ子孫繁栄円満・調和など縁起の良い意味が込められています。

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【江戸切子の伝統模様5】六角籠目文(Rokkaku-kagome)

竹かごの網目をモチーフに作られた籠目文。六角籠目文はその名の通り、六角形になるようカットを施した文様です。 籠目文様は古くから魔除けの効果があると考えられており、六角籠目にも魔除けの意味が込められています。

横と斜めの線を組み合わせて作る六角籠目文は、遠目からは六芒星の形にも見えます。この六芒星の形は伊勢神宮の灯篭に刻まれていることもあり、縁起がいい文様だと解釈されることも。カットを施してキラキラ輝く部分と、カットを施していない部分の滑らかな質感の対比が美しく、上品な雰囲気を醸し出すのが魅力です。

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【江戸切子の伝統模様6】八角籠目文(Hakkaku-kagome)

八角籠目文も、籠目文様の一種です。縦・横・斜めの直線を組み合わせて、八角形を作っています。八角形の部分と、直線が交差する四角いマス目が交互に配置されるのが特徴です。

八角籠目文は、六角籠目文と同様に魔除けの効果があるとされており、八角籠目文をあしらった江戸切子も特別な贈答品として人気があります。六角籠目文と比べるとカットを施す箇所が多い分、光を反射する透明な部分も増え、より華やかな印象を与えるのが魅力。

ゴージャスで高級感のある江戸切子を探すときは、ぜひチェックしてみてほしい文様です。

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【江戸切子の伝統模様7】菊繋ぎ文(Kiku-tSunagi)

縦・横・斜めの直線を複雑に交差させて、連続した菊の文様を表す菊繋ぎ文。線が細ければ細いほど密度が高まり、控えめな輝きが洗練された雰囲気を醸し出す人気の文様です。細い線をたくさんカットして装飾を施す必要があるため、職人には高度な技術が求められます。

菊には「不老長寿」の意味が込められており、敬老の日や父の日・母の日の贈り物におすすめ。また「菊」から「喜久(きく)」と書くこともでき、「喜びが長く続く」という意味にも転じられるため、結婚祝いや新築祝いの縁起物としても要チェックです。

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【江戸切子の伝統模様8】菊籠目文(Kiku-kagome)

菊籠目文は、菊繋ぎ文と籠目文を組み合わせた文様です。菊籠目文は、菊のもつ「不老長寿」と籠目のもつ「魔除け」が掛け合わされており、健康祈願と邪気払いの両方の意味が込められています

菊繋ぎ文は隙間なく直線を配しているのに対して、菊籠目文は所どころ籠目の空間があります。空間がある分、線が密集している箇所の輝きが際立ち、星くずのような繊細かつ華やかな印象を与えるのが魅力。

透明×ピンク、金×青など、カットを施した部分とガラスの地の色が異なる江戸切子は、とてもゴージャスです。実際にグラスとして使うのはもちろん、インテリア用品としてその場に置いておくだけでも華を添えられます。

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【江戸切子の伝統模様9】菊花文(Kikka)

菊の花をモチーフにした菊花文。菊系の文様には、「不老長寿」や 喜久(きく)から転じた「喜びが長く続く」などの意味があり、菊花文にも同様の意味が込められています

本物の菊の花びらのように、細長くて先端が少し尖ったカットを施しています。花びら1枚1枚が細長く、組み合わせるうちにサイズが大きくなるため、作品の主役としてあしらわれる場合が多いのが特徴です。

黄色や緑などの色ガラスと組み合わせたり、麻の葉文や籠目文といった他の文様も一緒にあしらったりした江戸切子もあります。ほかの文様と比べると大柄な分、カット面の立体感がよくわかり、ずっと見ていたくなる文様です。

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【江戸切子の伝統模様10】笹の葉文(Sasa-no-ha)

笹の葉をモチーフにした笹の葉文。よく似ている麻の葉文や菊花文と比べると幅が細く、先端の尖り方も鋭いのが特徴です。江戸切子に笹の葉文のカットを施す際は、扇状に広がるように何枚も重ねながらあしらっています。

全体的に細長いモチーフになるため、ロンググラスやタンブラーなど、縦に長い作品に使用される傾向にあります。笹は古くから神事(しんじ)に使われており、瑞祥(ずいしょう)を意味する植物です。おめでたいお祝い事の際は、笹の葉文を配した江戸切子を贈るのもおすすめですよ。

※瑞祥とは、”良いことが訪れる兆し”のこと

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【江戸切子の伝統模様11】芯無し蜘蛛の巣文(Shin-nashi Kumo-no-su)

細い糸が幾何学的に展開していく蜘蛛の巣から着想を得た「蜘蛛の巣文」。芯なし蜘蛛の巣文は名称に「芯なし」が付いている通り、文様の中央に丸い空洞ができているのが特徴です

遠目からはレース編みのモチーフのように見え、和洋折衷の個性的な印象を与えます。蜘蛛の巣文には悪夢を絡め取り、良い夢だけを持ち主に届けるという意味があり、日本版のドリームキャッチャーだといえます。

縁起物としてはもちろん、自分用のラッキーグッズとして手に入れてみてください。

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【江戸切子の伝統模様12】芯有り蜘蛛の巣文(Shin-ari Kumo-no-su)

芯あり蜘蛛の巣文は芯なしと違い、中央も直線で埋め尽くされているのが特徴の文様です。細かいカットが縦横無尽に施されており、虫眼鏡でじっくり観察しないと1本1本を確認できないほどの繊細さを持ちます。

蜘蛛の巣文系の模様には、「悪夢を払う」という意味が込められており、開運グッズとして購入・プレゼントできる魅力があります

花のようなカットにも見え、グラスや食器類のデザインの主役にもなります。切子工芸を作るときは魚子文のような小さい文様と組み合わせて、メリハリを出すのが一般的。縁起物として人気がある文様です。

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【江戸切子の伝統模様13】亀甲文(Kikko)

亀甲文は、亀の甲羅をモチーフに生み出された文様です。デザインはシンプルな六角形で、漆器や焼き物、着物など様々な伝統工芸品に用いられています。切子細工に取り入れるときはカットを施して表現するほか、カットを使わず凹凸のみであしらうケースもあります。

亀は古くから瑞祥(ずいしょう)の動物とされているため、亀甲文を配した江戸切子は贈答用としておすすめです。

※瑞祥とは、”良いことが訪れる兆し”のこと

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【江戸切子の伝統模様14】花切子 ぶどう(Hanagiriko-grape)

花切子とは、カットした面を磨いてツヤを出す工程を省き、あえてそのままにしてすりガラスのような質感を表現する技法です。色ガラスを使わなくても、ガラスの透明さと白っぽさだけで様々な絵柄を描くことができます。

花切子のぶどうには、果実としての特徴である「たくさん実がなる」「巻きつくツル」から転じた、子孫繁栄や縁結び・夫婦円満などの意味が込められています

ぶどうの実の丸いモチーフがかわいらしく、つい手に取って毎日使いたくなる文様。ぶどうにちなんで、江戸切子のワイングラスを探すのもおすすめです

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まとめ

キラキラと輝くカットが美しい江戸切子。じっくり見てみると、1つの模様を全面にあしらった上品なものや、複数の模様を組み合わせた華やかなものなど、様々なデザインがあります。

伝統的な模様を大切にしつつ、新しい模様を生み出したり、アニメやお店とのコラボで個性的な絵柄をあしらったりと、年々模様の種類は増えていて目が離せない工芸品です。

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なかには縁起の良い意味を持つ模様や代表的な模様同士が掛け合わさった良いとこどりの江戸切子なども。プレゼントを探している方はぜひチェックしてみてください。

最後に

本記事では、江戸切子の模様をメインで解説してきましたが、江戸切子の魅力はなんといっても「美しく輝く点」です。使って楽しい、見て楽しい江戸切子の魅力を知りたい方は、以下の記事を読んでください。

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