慶事の贈り物に欠かせない熨斗(のし)。あたりまえに使用していますが、その意味って知っていますか?
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熨斗って実はアワビだった!
「熨斗」という言葉を聞くと、白い紙に水引と右側に赤い小さい飾りがついたものを想像する人が多いと思います。でも実は、正式に熨斗と呼ばれるのは飾りの部分だけなんです。
この飾りをよく見ると、紅白の色紙を六角形に折った中に黄色っぽい細長いものが入っていますね。この黄色っぽいもの、何だと思いますか?
実はこれ、アワビなんです!薄く伸ばして琥珀色になるまで天日干ししたアワビを細長く切ったものが入っています。これを「熨斗鮑」といって、熨斗という言葉はこの「熨斗鮑」に由来しています。
どんな意味が込められている?
贈り物にどうしてアワビが?そう思った人も多いはず。
アワビは高級食材として有名ですが、縄文時代から日本人が食用にしていたようです。栄養豊富でとても美味なため大変貴重なものとされ、アワビ自体を贈り物にすることも。
でもアワビは生だと腐ってしまう・・・貴重すぎて大勢の人には贈ることができない・・・そんな悩みから天日干しにして細かく切った熨斗鮑が贈り物に添えられるようになったと言われています。
その後中国との交流が始まり、アワビの伝説も日本に知られることとなりました。
昔、中国が秦という国だったころに始皇帝という人がいました。彼は不老長寿を夢見て、家来に不老長寿のための薬を持ってこさせました。そこで家来が持ってきたのがアワビ。そこからアワビが長寿の象徴として知られるようになったようです。
他にもアワビの匂いは邪気を祓うとされていて、熨斗鮑のつけられた贈り物は新鮮で汚れのないものになると考えられているようです。
伊勢神宮の熨斗鮑
日本のアワビの産地として有名な場所の一つに三重県の国崎(くざき)があります。この国崎では現在も熨斗鮑の生産を行っていて、なんと2000年も前から伊勢神宮に奉納を続けていると言われています。
どうして伊勢神宮には熨斗鮑が献上されているのでしょうか?実は伊勢神宮にも熨斗鮑に関する伝説が残されています。
むかし倭姫命(やまとひめのみこと)が舟で志摩地方を巡幸し、国崎で「おべん」という海女が潜っているのを見かけました。倭姫命はおべんが持っている貝に興味をもち、貝の名前を聞きました。おべんは「これは鮑と申します。大層美味しい貝です」と言って勧めます。倭姫命は一口食べるとその美味しさに感動し、「毎年伊勢神宮に献納してほしい」と言いました。そこでおべんは、「生のままでは腐ってしまうので乾燥させたものを献納しよう」と提案しました。
現在は6月と12月に行われる月次祭(つきなみさい)と10月に行われる神嘗祭(かんなめさい)で本物の熨斗鮑を献上する儀式が行われています。
また毎年7月に行われる御潜神事(みかづきしんじ)では熨斗鮑づくりの実演が見られますよ!
こんな場面では使ってはいけない!
さてそんな貴重で縁起がいいとされている熨斗ですが、贈り物の中でも熨斗をつけてはいけないケースがいくつかあります。
お見舞いや弔事でのケース
「熨す」という言葉には「伸ばす」という意味があります。不幸事の期間が伸びてしまわないように、熨斗は使用しないのが一般的です。
海産物を贈るケース
熨斗にはアワビがついているので、海産物、生物という点で意味が重複してしまうからです。
仏事に使うケース
精進中のお坊さんは魚介や獣肉を食べてはいけません。そのため熨斗鮑は用いることができず、代わりに「熨斗昆布」が使用されます。
このように熨斗にも使ってはいけない場面があるんですね。熨斗を使う際には念のため注意しておきましょう!
終わりに
実はアワビだった熨斗、私自身もとっても意外で驚きました。今は印刷されているものが主流となっていますが、熨斗はお祝いの気持ちの印としてなくてはならないものになっています。
日本の伝統的なお祝いの心を大切にしたラッピングで、ぜひ素敵な贈り物を!
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