コラム

京仏壇の歴史~美しい装飾に目を奪われる京都の伝統仏壇~

京仏壇の歴史を年代別にかんたんに紹介

6世紀:仏教伝来と共に仏具の歴史が始まる。
7世紀頃:仏壇自体の起源とされる時期。
8世紀:京都での仏具製作が始まる。
9世紀頃:京仏壇の起源とされる時期、都が京都に遷ってから。
11世紀初頭:仏師定朝が七条に「仏所」を設け、本格的な仏具製作が始まる。
江戸時代初期:宗門改め制度により各家庭に仏壇を安置する習慣が広まる。
現代:京都は仏壇・仏具の一大産地として、高い技術及び品質で知られる。約70%が寺院用、約30%が家庭用として製作されている。

京仏壇の歴史(詳細)

京仏壇の歴史は、仏教伝来の552年(または538年)にさかのぼり、世界最古の木造建築である法隆寺金堂に見られるような広い板敷の壇が仏壇の原形とされています。奈良時代から平安時代にかけて貴族社会では持仏堂や仏間の建立が盛んになり、法隆寺の玉虫厨子や中尊寺金色堂、平等院鳳凰堂などが造られました。これらは後に在家用の仏壇として発展していきます。

京仏壇の起源は、794年に都が京都に遷った後の9世紀頃とみられ、京都が宮廷文化と仏教文化の中心地としての役割を果たす中で、各宗派の総本山が集い、それぞれの宗派の発展と共に京仏壇や京仏具の技術や伝統も育まれました。起源は約1100年以前にさかのぼり、松、桧、杉、欅などの木地に漆、金箔、銀、銅、真鍮などを用いた工程を経て作られ、10世紀初期からの伝統技法によるものです。

京都は仏教文化の都として、大小さまざまな各宗派の寺院が存在し、多数の寺院と各家庭の需要に応えながら京仏壇・京仏具は発展してきました。6世紀の仏教伝来と共に始まった仏具の歴史は、各宗派に異なった様式で分化していき、家の中に一寺院そのままを組み込む形式の仏壇が各家庭に設置されるようになりました。8世紀ごろから京都での仏具製作が始められ、江戸時代の初めには各家庭に仏壇を安置するようになり、生産も本格化しました。

京都は仏壇・仏具の一大産地であり、生産量だけでなく技術及び品質の面でも特徴を持っています。大量生産が困難であり、木工・金工・漆工などあらゆる技術を駆使した総合工芸品であることから、細かい分業に基づく専門的な手仕事が中心となっています。これらの条件が重なり、より品質の高いものへと発展していきました。仏具は仏教に用いるあらゆるものを意味し、主なものには仏像、宮殿、厨子、香炉、梵鐘、燭台などがあり、これらの寺院用仏具も、仏壇と共に伝統的な手作りによって作られています。現在、京都で製作される仏具の約70%が寺院用、約30%が家庭用であり、全国の寺院用仏具の多くが京都で作られています。

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