甲州印伝:鹿革の伝統工芸品の美しさと技法を紹介
はじめに
日本の伝統工芸品として知られる甲州印伝。
その美しい模様と鹿革の質感が魅力的で、長く使うほどに味わいが増すことから多くの愛用者がいます。
この記事では、甲州印伝の魅力や歴史、製法、そして製造元について詳しく解説していきます。さあ、甲州印伝の世界に一緒に触れていきましょう。
甲州印伝とは
甲州印伝(こうしゅういんでん)とは、山梨県甲府市で作られている革製品の工芸品です。
特徴的なのは、鹿革を用いて漆で模様を付ける技法です。
この技法を使って、鞄や財布、小物入れなど様々な製品が作られています。
歴史
甲州印伝は戦国時代にも武具に利用されていました。
革が柔らかく軽く、長く使い込むに従って光沢が増す特性から、武田信玄も武具入れにしていたとされています。
長い間甲州で愛され続けている伝統工芸品です。
作り方と技法
高品質な甲州印伝を作り出すのは、伝統的な3つの技法です。漆付け、燻べ(ふすべ)、更紗(さらさ)を用いて、熟練の職人が丁寧に仕上げています。
漆付けは、甲州印伝の最も代表的な技法です。染めた鹿革に型紙を置き、漆を刷り込むようにして、美しい模様を浮かび上がらせていきます。
燻べは、タイコと呼ばれる筒に貼り付けた鹿革を、藁(わら)の煙や松脂などでいぶし、自然な色を付けていく手法。いぶすことで防虫効果が高まるため、より長持ちさせることができます。
更紗は、型紙を変えながら色を重ねることで、調和のとれた鮮やかな色彩を表現。均等に色を付けていく作業では、職人の優れた技術が必要になります。
製造元
甲州印伝の製造元として有名なのは、「有限会社印傳の山本」と「株式会社 印傳屋上原勇七」です。
これらの施設では、甲州印伝の見学や体験ができるので、興味がある方はぜひ訪れてみてください。
甲州印伝の魅力
甲州印伝の大きな魅力は、鹿革ならではの上品な質感です。
柔らかく軽い革には、美しい光沢があり、長く使うことで輝きが増していきます。色もより冴えわたり、深みが出てくるため、長期間愛用する人が多いのです。
また、甲州印伝の模様にはさまざまな種類がありますが、基本的なテーマは、四季の美しさ。小桜、菖蒲、トンボといった昔ながらの模様が、現在も多くの製品に描かれています。
ほかには、ペイズリーやアメリカンブルーなど、異国の要素を取り入れた製品も人気です。通常の甲州印伝とは一味違った魅力で、新しいファンを獲得しています。
甲州印伝とその他の印伝の違い
多くの人々が、印伝と聞くと甲州印伝を思い浮かべることでしょう。
これは、百貨店やお土産屋さんなどで販売されている印伝製品が、ほとんどが甲州印伝であるためだと思われます。
しかし、現在の印伝メーカーは、主に山梨県、奈良県、東京都の3地域にあります。山梨県では甲州印伝、奈良県では奈良印伝、東京都では前川印伝や江戸印伝、浅草印伝などと呼ばれることもあります。
それぞれの印伝は、鹿革に漆を施しそれを仕立てるという工程は共通していますが、異なるメーカーによって製造されているため、それぞれ独自のデザインや形状を持っています。
伝統的なトンボや麻の葉などの模様や、基本的な黒、白、赤の色彩は、どの印伝店でも扱っています。しかし、同じ柄でも、メーカーによって形状やデザインに差異があります。
また、その他バッグの形やカラーバリエーション、柄模様などそれぞれのメーカー独自の商品もたくさんあります。
まとめ
甲州印伝は、その美しい模様と鹿革の質感、長く使うほどに増す輝きが魅力の伝統工芸品です。
歴史ある技法と熟練の職人が生み出す、美しさと耐久性を兼ね備えた甲州印伝製品は、使う人の心を捉え続けます。
ぜひ、自分だけのお気に入りの甲州印伝を手に入れて、その魅力を体感してみてください。