今回のハレトケブログは、みんな大好きナポリタンのお話。カタカナ5文字、「ナポリ」の地名が入っていながら、ナポリタンはイタリア料理ではありません。実は日本人お得意の模倣と改良の産物であること、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
では、そんなナポリタンはどのように生まれたのでしょうか。日本人の洋食として愛されるようになった歴史を探っていきましょう。
定説以前のナポリタンの姿
「戦後、アメリカ兵の食事からヒントを得て、ナポリタンは誕生した」
こんな説を聞いたことがあるかもしれません。これはナポリタンの誕生に関する定説として広く知られているもの。決してまちがっているわけではなく、ナポリタン誕生に関する知識としては十分ですよね。ですが洋食好きの皆さんによる、さらに細かい研究では、もっと前にナポリタンのもとになる料理があったことがわかっているんです。
大正時代、フランス語の「ナポリテーヌ」?
その説を裏付けるのが、1920年に発行された書物にある、”Spaghetti a la Napolitaine”という料理。これは綴りからしてフランス料理ですが、茹でたスパゲッティにトマト・チーズ・ハムを加え、ブイヨンで煮込んだものだそう。カタカナ読みすると”Napolitaine”は「ナポリテーヌ」に近い発音ですが、当時の人々はこれを「ナポリタン」と呼んだと考えられます。
「ナポリタン」の語源は実はフランス語だったかもしれないなんて、驚きですね!そしてこの「ナポリタン」を世に広めたのが1927年開業の「横浜ホテルニューグランド」。このホテルは、ナポリタン発祥の地のひとつとして有名です。
まだまだ深い、ナポリタン
確かにホテルニューグランドがナポリタンを一品料理として提供し始めたのですが、当時のナポリタンはなんと、ケチャップ不使用!もとのフランス料理にならって、トマトソースを使っていたんだそうです。では、ケチャップを使うようになったのはなぜでしょう?
そこで出てくるのが、通説でも有名な「アメリカ兵」の活躍。戦後の深刻な食糧不足の中、ナポリタンを作りたくても、トマトなんて高価なものは手に入らなかったんです。困った日本の料理人たちが注目したのは、アメリカ進駐軍が大量に持ち込んだトマトケチャップ。大好きなケチャップをあらゆる食べ物にかけるアメリカ兵を見て、料理人たちはトマトソースではなくケチャップでナポリタンを作ったのです。これがケチャップをたっぷり使った今のナポリタンの原点だと言えます。
始めにケチャップを使ったとされる横浜の「センターグリル」というレストランが元祖だという人…いやいや、「ナポリタン」の名前を初めて使った「ホテルニューグランド」が元祖だという人…元祖を決めるにはまだまだ話し合いが必要なようですが、いずれにしても食糧不足をおいしく乗り切ろうとした当時の料理人たちの頑張りに胸が熱くなりますね!
ナポリタンを美味しくアレンジ
ナポリタンの基本はケチャップ、ピーマン、タマネギ、薄切りのベーコンやハムです。でも、この具材やかけるものを変えるともっと自分好みにできますよ。ということで、ナポリタンのアレンジを5つご紹介します。
- 【アレンジ1】溶き卵を薄く広げて焼き、まだ半熟のうちにナポリタンをのせる。
- 実際のカフェで出されているアレンジメニューです。卵を絡めながら召し上がってください。
- 【アレンジ2】ナポリタンのケチャップと一緒に甘麹を入れて混ぜる。
- コクが出てまろやかになります。
- 【アレンジ3】ケチャップに、水で溶いた片栗粉を混ぜる。
- あんかけ風になって食べ応えが出ます。
- 【アレンジ4】具をシーフードにして、わさびを足す。
- 食感も変わり、少し和風になります。わさびでシーフードの臭みを消すこともできます。
- 【アレンジ5】具にパクチーを加えて、ケチャップにはナンプラーを入れる。
- 一気にエスニックになります。癖のある味がお好きな方に。
おまけで、麺の硬さについても触れておきたいと思います。普通は麺を茹で過ぎるのは良くないことですよね。コシがなくなってしまいます。でも、昔の喫茶店などでは独特の食感を出すためにわざと長い間茹でで一晩ほど置いておくという工夫がなされていました。昔懐かしいナポリタンを食べてみたいなら、茹で時間を長くしてみるのもおすすめです。
まとめ
異国の料理からヒントをもらい、食糧不足を乗り越え完成したナポリタン。
本場イタリアではスパゲッティーにケチャップをかけることはまずないそうで、初めて日本のナポリタンを見て驚いたり戸惑ったりするイタリア人は多いようです。ナポリタンはもはや日本料理ですが、本場ナポリにも似たような名前のスパゲッティーはあるんです。食べ比べしてみたら、こんなに違うのかと私たちも驚いてしまうかもしれませんね。