今、様々な理由からお遍路さんになる人が増えています。
毎日の仕事でストレスが溜まったのでリフレッシュしたい、健康のため運動したい、心を清らかにしたい…。
ニーズに合わせて形態も多様化してきているお遍路さんについて見ていきましょう。
制約は少なめ
四国の八十八ヶ所をめぐる旅。その八十八ヶ所とは、弘法大師に縁のあるお寺です。
具体的には、弘法大師が四国で修行したお寺なのだそう。
お遍路さんはこのお寺を一つずつ巡っていきます。八十八ヶ所もあるなんていかにも大変そうですよね。
しかし、意外にもお遍路は自由度が高いのです。全てを訪れなければいけないわけではありません。
お寺には弘法大師が訪れたとされる順番がありますが、その通りに行く必要もないのです。
また、テレビで紹介されるような白装束に編笠や数珠、杖などの衣装も全て揃えなくても良いとされています。
さらに、お遍路は宗派を問わないので真言宗ではなくてもお参りできます。
そうは言ってもいくつもお寺をめぐって歩くのは疲れる?いいえ、徒歩にこだわる必要もありません!
健康維持を目的とする人もいますが、交通手段も問わないため車や自転車を使う人も増えています。
最近人気なのは旅行会社のバスツアーです。
ツアーだと先達(せんだつ)が添乗していることが多いのも魅力でしょう。
先達とは、ざっくりいうと何度もお遍路をしていて経験が豊富な人たちのことです。
四国八十八ヶ所の公認先達は厳しい条件をクリアした人たちなので、お遍路についての知識も多く、初心者の案内をしてくれます。
いかがですか?思っていたよりも厳しくないと感じられたのではないでしょうか。
弘法大師の伝説
今なお多くの人に慕われ、尊敬を集めている弘法大師。彼にまつわる伝説は数多くあります。
その中で特に有名な話をご紹介します。
伊予国(現在の愛媛県)に衛門三郎という庄屋がいました。
衛門三郎は強欲な心の持ち主で、富を増やすことばかり考えていました。
ある日のこと、一人の托鉢僧が衛門三郎の家にやってきました。
この僧は実は弘法大師だったのですが、衛門三郎は気づかず追い返してしまいます。
追い返しても翌日、翌々日と何度も僧はやってきます。
怒った衛門三郎は竹箒で托鉢用のお椀を叩き、お椀は8つに割れてしまいました。
次の日から僧は来なくなります。そして、その日から衛門三郎の8人の子どもたちが8日間のうちに次々と亡くなりました。
そこでようやく托鉢僧が弘法大師であったことに気づいた衛門三郎。
今までの行いを悔い、弘法大師に会って許しを請おうと追いかけます。
四国の寺院を探し回り、何年もかけて20回以上巡っても弘法大師は見つかりません。
衛門三郎はとうとう途中で倒れてしまいます。
すると、弘法大師が目の前に現れ「これであなたの罪は許されました。最後に何か望みはありますか。」と言いました。
衛門三郎は、「来世では領主の家に生まれて人の役に立ちたい」と言い残して亡くなります。
弘法大師は路傍の石を手に取り「衛門三郎」と書いて手に握らせました。
それから数年後、ある領主の家に男の子が誕生します。
しかし、その子の片手は強く握られていて開きません。
そこでお寺で祈祷してもらうと、手は開き中から「衛門三郎」と書いた石が転がり出たのでした。
旅にでた衛門三郎の姿は白装束に脚絆、笠など。
これが現在のお遍路さんの正装のルーツとなっているそうです。
お遍路さん第一号ということですね。
終わりに
1から88まで順に巡ることを順打ち、88から1の順に巡ることを逆打ちと言います。
逆打ちは順打ちのなんと3回分のご利益があるそうです。
順番にこだわらなくてもいいと書きましたが、3倍はすごいですね。
[goods_box ahref='http://t.felmat.net/fmcl?ak=J547W.2.P6238_I.P85830' goods_name="ナガサキ文様のカップセット" img='' price='3000' description='ナガサキの伝統文様柄のカップ。日本酒はもちろん、コーヒーやお茶、お猪口にもデザート用にも多彩な一品です。']