平成3年に青森県の伝統工芸品に指定された「津軽びいどろ」。100種類以上の色ガラスを使い分けた繊細な彩色と豊富な商品ラインナップが魅力で、人気が高まっているガラス工芸です。
津軽びいどろの「びいどろ」の語源は、ポルトガル語で「ガラス」を意味する「Vidro(ヴィードロ)」。日本では16世紀以降、各地でガラス製品の生産が盛んになりました。
そこで今回は、津軽びいどろの魅力を引き出す作り方を解説します。津軽びいどろの作り方や魅力を知りたい方、津軽びいどろとは何なのかイマイチ分からない方はぜひ参考にしてみてください。
津軽びいどろが誕生したきっかけは?
日本でガラス製品の製造が盛んになったのは16世紀以降。ポルトガル人が鹿児島県の種子島に漂着したことや、フランシスコ・ザビエルの来日などをきっかけに、全国的に庶民にまで広くガラス文化が普及します。
その内の1つが、津軽びいどろです。ここでは、津軽びいどろの歴史を解説します。
始まりは漁業用の浮き球づくり
津軽びいどろの始まりは、漁業用の浮き球づくりでした。浮き球とは、漁網を投げ入れるときに目印にする球体のこと。昔はガラス製のものが中心で、津軽地方では北洋硝子(株)が特に品質が高いとして評判になりました。
北洋硝子(株)の浮き球を評価する声は全国に広がり、昭和48年には国内生産量トップにまで上り詰めます。
浮き球の需要減を受けて生活用品づくりを開始
順調に思えた北洋硝子(株)のガラスの浮き球づくりですが、昭和50年代に入ると需要が減るようになります。
これまでガラス製の浮き球が主流だったのが、ガラスより安価で扱いやすいプラスチック製のものが使われるようになったためです。危機に直面した北洋硝子(株)は、これまで培ったガラス作りのノウハウを生活用品づくりに活かすようになります。
着想を得たきっかけは、津軽半島にある七里長浜という海岸でとれた砂を原料に加えたところ、ガラスが美しい緑色に発色したことです。
その後緑以外の色づくりにも取り組み、現在までに100種類以上の色ガラスの開発に成功。繊細な色彩表現が多くの人を惹きつけ、知る人ぞ知るガラス製品にまで成長します。平成8年には青森県の伝統工芸品に指定されました。
津軽びいどろの作り方は?(動画あり)
津軽びいどろの作り方の手順は、大きく3つの工程に分かれています。
① 材料調合・溶解
② 成形
③ 徐冷
特徴は全ての手順を手作業で行っているところ。
本来なら機械でもできる工程もハンドメイドにこだわっており、一つとして同じものがないのが魅力です。熟練の職人たちがどのような方法で津軽びいどろを生産しているか確認してみましょう。
①材料調合(ちょうごう)・溶解(ゆうかい)
まずは材料を調合し、高温(1,500度)の窯の中で溶かします。
ドロドロになったガラスを吹き竿に巻き付け、成形の準備をします。
②成形(せいけい)
津軽びいどろを成形するときは、主に以下の4つの技法を使います。
● 宙吹き
● 型吹き
● スピン成形
● オーナメント成形
津軽びいどろの特色でよく挙げられるのは、宙吹きです。
「宙吹き」は型を使わず、吹き竿から送り込む息だけでガラスの形を整える方法です。息づかいを1つ間違えるだけで、すぐに変形してしまうのが難しいところ。イメージ通りに成形するには職人の勘と経験が重要になり、豊富な経験が求められる技術です。
「型吹き」はガラスを巻き付けた竿を金属の型に入れて成形する方法で、同じ形のものを量産するときに活用します。
「スピン成形」は、竿を回転させた遠心力で形を整える方法です。回転速度の調整が難しく、均一な形を作るまでに何度も試行錯誤することが求められます。
「オーナメント成形」では炉でガラスに熱を加えながら、ピンセットなどの道具を使って成形します。ガラスの伸び具合や全体の形も意識する必要があり、集中力と手先の器用さが重要です。
③徐冷(じょれい)
成形ができたら、ガラスにできた「歪(いびつ)」を取る徐冷という工程に移ります。
成形するために炉からガラスを取り出すと温度が下がるうえ、器の外側と内側で冷めるスピードが異なることもあり、歪という伸縮痕ができてしまうのです。歪を放置しておくと割れる危険性が高くなるため、徐冷の工程はとても重要。
専用の窯に入れて、常温まで少しずつ冷まして完成です。
津軽びいどろの良さや魅力について
透き通ったガラスにカラフルな色彩をつけているのがおしゃれな津軽びいどろ。自宅用のインテリア雑貨だけでなく、贈り物としても人気があります。
人気の理由は、繊細な表現や職人の高い技術力、様々な商品が展開されていることです。それぞれの魅力について、より詳しく解説します。
100種類以上の色ガラスを使った繊細な表現
津軽びいどろの魅力は、何と言っても繊細な色彩表現。これまで多くのガラス製品を製作した経験をもとに、100種類以上の色を使い分けています。
例えば一口に「青」と言っても、色の濃さや透明感はさまざま。青森のリンゴやねぶた、日本の四季など、風情あるガラス製品が多く展開されています。
熟練の職人による高い技術力
ガラス製品の製造でも機械化が進んでいる現代。津軽びいどろは職人の手によって一つ一つ丁寧に生産されています。
特に高い技術力が求められるのが、ガラスの形を成形する宙吹き技法。手作業であるにもかかわらず器の厚さや形が均一で、ハンドメイドならではのぬくもりと見た目の美しさを兼ね備えています。
津軽びいどろは結婚祝いのギフトにおすすめ
津軽びいどろでは、グラスや花瓶といったガラス製品の定番だけでなく、オイルランプ・ガラスペン・インテリア雑貨など、さまざまなアイテムを展開しています。
色のバリエーションも豊富で、自分の好みや部屋の雰囲気に合ったものを見つけやすいのも魅力の1つです。結婚祝いや誕生日プレゼントなど、大切な人への贈り物にもおすすめですよ。
津軽びいどろのおすすめ商品10選
自宅に飾れるインテリア雑貨や晩酌を彩るおしゃれなグラスなど、様々な商品を販売している津軽びいどろ。
繊細な装飾を施した素敵なアイテムが盛りだくさんです、今回はその中から、自分用に津軽びいどろのおすすめ商品を10個厳選してご紹介します。
〈津軽の情景 フリーグラスセット〉
赤・青・黄・緑のグラスがセットになった商品です。底が透明感のあるまだら模様になっており、食卓に彩りを加えられるのが魅力。飲み口もさりげなく同系色で縁取っているのがおしゃれです。
4色セットなので、家族用に購入するのにおすすめ。小ぶりなサイズ感から、おちょこ代わりにもできる使い勝手のよいグラスセットです。
〈ふくろう 子ふくろう アンバー〉
べっこう飴のような色合いがかわいらしい、ふくろうの置物です。つぶらな瞳でこちらをじっと見つめていて、つい目が離せなくなってしまう一品。
ふくろうは「福籠」や「不苦労」など当て字ができるため、縁起が良い動物とされています。台座も付いているので、開運グッズとして部屋に飾ってみてください。
〈りんご カップペア〉
青森県の代名詞であるリンゴから着想を得たペアカップです。ガラスの透明感から、とれたてリンゴのみずみずしさがイメージできます。かわいらしい赤リンゴとフレッシュな青リンゴを表現しており、何度でも使いたくなる一品。
手のひらに収まるちょうどよいサイズ感で、食後のティータイムに活躍するペアアイテムです。
〈オイルランプ 津軽赤りんご〉
照明を落としたリビングやベッドルームに置いて、リラックスタイムをのんびり過ごせるオイルランプです。
青森県産の真っ赤なリンゴをイメージしており、ガラスなのに濃い赤色をしているのが印象的。ころんと丸みのあるシルエットがかわいらしく、使わないときでもインテリア雑貨として活躍してくれます。
〈花しずく ブーケポット ブルー〉
水彩絵の具で描いたような、螺旋模様をあしらっているのがおしゃれな花瓶です。
ブルーとライトブルーの爽やかな色合いで、ダリアや百合など夏の花を飾るのにぴったり。ブーケをすっぽりと入れられる大きさで、扱いやすいのも魅力の一つです。
色の展開が豊富で、オレンジやラベンダーのものもあります。
〈氷華 金彩ロックグラス 碧〉
ウイスキーを入れるのにぴったりの、高級感があるロックグラスです。口元に金箔、底面に深いブルーの彩色を施しており、複雑な色合いに引き込まれそうになります。
満水容量は300mlで、ウイスキーを炭酸水や氷を割って飲むのにちょうど良い大きさです。木箱に入った状態で手元に届くため、自分用のプレゼントにもおすすめですよ。
〈NEBUTA ねぶた タンブラーペア〉
青森県で毎年8月に開催される、ねぶた祭をイメージして作ったタンブラーです。底面のカラフルな模様が、ねぶた祭の光や音の賑やかさを表現しています。
模様には8色もの色ガラスを取り入れており、津軽びいどろの色彩の豊かさも感じられるのがポイント。ガラスならではの透明感が美しく、暑い日に氷を入れた麦茶やビールをグッと飲みたくなるアイテムです。
〈五様ミニグラスセット〉
色とりどりのミニグラス5個がセットになった商品です。春の華やかさを表現した赤いグラスや、秋の夕暮れを想像させるものなど、日本の四季を感じられるのが魅力。
お酒の飲み比べだけでなく、2個は酒器にして残りの3個は珍味入れにするなど、自分好みの使い方ができます。
〈MATSURI HANABI まつりはなび 箸置・箸セット〉
夏の夜空に打ちあがる花火と、日本の祭りを表現した箸置きと箸のセットです。ガラスならではのクリアな素材感と、津軽びいどろの特色である繊細な色彩がマッチしているのが魅力。
お箸は福井県で生産されている若狭塗箸です。お箸を買い替えるタイミングにぜひチェックしてみてください。
〈彩手鞠 花雲〉
ピンク・オレンジ・黄色の3色で春の花畑を表現した花瓶です。
手のひらにすっぽり収まる小さいサイズで、シロツメクサやガーベラを一輪挿しにするのにおすすめ。厚みのあるガラスを使用しており、内側の光を反射して華やかさを演出することが可能です。
ほかにも春風や夏空など、様々なカラーのものを展開しています。
最後に
漁業用の浮き球づくりが始まりだった津軽びいどろ。苦難を乗り越え、今ではガラス工芸の一大ブランドにまで成長しました。豊かで繊細な色彩をもとに、グラスや花瓶、インテリア雑貨など様々なアイテムを生産しています。
自分の生活にガラス製品を取り入れたい方は、ぜひ津軽びいどろを選んでみてください。津軽びいどろの商品は、こちらのサイトから購入できます。