多摩織

多摩織の歴史~平安より現代に伝わる伝統織物~

多摩織の歴史を年代別にかんたんに紹介

平安時代: 多摩織の起源。絹や生糸を租税として納める。
室町時代: 北条氏の奨励により、多摩織が産地として形成される。
江戸時代: 八王子で毎月4日と8日に絹市が開催される。八王子織物として知られるようになる。
江戸時代中期: 江戸の繁栄に伴い、八王子が着物地の一大産地として発展。
明治時代: ジャガード織や力織機の導入による近代化。八王子織物が現代産業として開花。
昭和初期: 産業構造が家内工業から工場制工業へ変化。代表ブランド「多摩結城」が完成。
1980年: 多摩織が経済産業省より伝統的工芸品に指定される。 ​

多摩織の歴史(詳細)

多摩織の歴史は平安時代まで遡り、この時代から絹や生糸を租税として納めていました。特に八王子市高月町には、天然記念物に指定された樹齢400年の桑の木が存在し、この地域には昔から桑が多く自生していました。養蚕と織物が盛んで、八王子は「桑の都」として知られていました。また、多摩川の支流である秋川や浅川が流れており、織物生産に欠かせない豊富な水が確保されていました。

室町時代には北条氏の奨励により産地として形成され、江戸時代には八王子で毎月4日と8日に絹市が開催され、地元だけでなく周辺地域からも生糸や繭、絹織物が集まりました。江戸時代中期には、江戸の繁栄に伴い、人や物の流通が増大し、八王子は、着物地の一大産地として飛躍的に発展しました。この時期に「八王子織物」として知られるようになり、「桑都」とも呼ばれました。

明治時代に入ると、ジャガード織や力織機の導入による近代化が図られ、八王子織物は現代産業として開花しました。戦中戦後の混乱期を乗り越え、壊滅状態からの再出発を遂げ、地場産業としての地位を固めました。昭和初期には、家内工業から工場制工業へと産業構造が大きく変わり、「多摩結城」という代表ブランドが完成しました。

1980年には、多摩織は経済産業省より伝統的工芸品に指定され、現代に至るまでその価値と技術が継承されています。

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