東京染小紋

東京染小紋の歴史~江戸の粋と都会の気品~

東京染小紋の歴史を年代別にかんたんに紹介

室町時代: 小紋の発祥。当初は鎧の革所や家紋に用いられ、後に衣服にも染められるようになる。
江戸時代初期: 武士の裃に小紋染が取り入れられ、型染め技術が発展。
江戸時代中期: 小紋が庶民にも普及し、文様柄が多様化。
明治時代: 断髪令や欧風化の影響で男子の小紋需要減少。女性の着物としての需要増加。
大正三年: 富田染め工芸が現在の場所で創業。
昭和51年: 東京染小紋が伝統的工芸品に指定される。

東京染小紋の歴史(詳細)

東京染小紋の歴史は、室町時代に遡り、当初は武具である鎧の革所や家紋などに用いられ、室町時代後期には衣服にも染められるようになりました。
江戸時代初期に入ると、武士の裃(かみしも)に小紋染が取り入れられ、型紙に掘られた柄で染め模様を作る「型染め」技術が発展しました。この技術には大紋・中紋・小紋の三種類があり、小紋柄は特に武士が公務の際に着用する裃の柄に使われました。江戸時代中期になると、小紋は庶民の間でも普及し、自由で粋な感覚の洗礼を受けて発展しました。
しかし、明治以降、川の汚れの影響で染色業者は移転を余儀なくされ、富田染め工芸は大正三年に現在の場所で創業しました。神田川と妙正寺川の流域は染色業者の集積地となり、今日までの伝統が守られています。
明治時代には、男子の小紋の需要は減少しましたが、女性の着物としての需要が増え、草花模様を描いた訪問着などが登場しました。昭和51年には、東京染小紋は伝統的工芸品に指定され、その歴史的価値が認められています。

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