小田原漆器の歴史を年代別にかんたんに紹介
794年: 平安時代に惟喬親王とロクロ集団が木の器づくりを始める。
1336年: 室町時代中期にろくろ挽きを得意とする人々が漆器製作を始める。
1470年: 室町時代後期に北条氏康が彩漆塗の技法を取り入れ、小田原漆器が発展。
1603年: 江戸時代に入り、漆器が生活用具や土産品として広く使用される。
1984年: 小田原漆器が「伝統的工芸品」として国の認定を受ける。
小田原漆器の歴史(詳細)
小田原漆器の起源は平安時代にさかのぼります。文徳天皇の第一皇子、惟喬親王と彼を奉るロクロ集団が現在の小田原市早川に住み着き、箱根や相模の豊富な木材を利用して器の製作を開始したとされています。この伝説により、木の器づくりの伝統が始まったと言われています。
室町時代中期には、ろくろ挽きを得意とする人々が作った器に漆を塗り始め、これが小田原漆器の始まりとされています。また、室町時代後期には、北条早雲を祖とする後北条氏の第3代当主、北条氏康が小田原漆器の発展に大きく貢献しました。彼は塗師を城下に招き、彩漆塗(いろうるしぬり)の技法を取り入れ、漆器の産地としての地位を確立しました。江戸時代に入ると、お盆やお椀などの生活用具に加え、武具にも漆を塗るようになり、実用性が高まりました。この時期、小田原漆器は東海道の宿場町や土産品としても重宝され、広く流通するようになりました。
昭和59年(1984年)5月31日には、小田原漆器は経済産業大臣(元通商産業大臣)指定の「伝統的工芸品」に指定され、その歴史と技術が国家レベルで認められました。この認定は、小田原漆器の伝統と技術の重要性を確立するものであり、今日までその伝統が続いています。