京漆器

京漆器の歴史~わびさびを感じられる繊細な伝統漆器~

京漆器の歴史を年代別にかんたんに紹介

縄文時代:日本で漆器の使用が始まり、生活用具、仏具、武器、文房具など多岐にわたる。
奈良時代:蒔絵技法が生まれ、末金鏤(蒔絵)が発展する。
平安時代:蒔絵技法が受け継がれ、研出蒔絵や平蒔絵が完成される。
鎌倉時代~室町時代:高蒔絵、肉合蒔絵が行われ、特定の蒔絵師をかかえる文化が発展。東山時代物と呼ばれる作品が生まれ、日本の漆工を代表する「わび」「さび」の境地に達する。
安土桃山時代:武士階級の趣味や好みを色濃く反映した華麗な京漆器が登場。
江戸時代:豪華さの中にも繊細で緻密な趣を持つ作品が目立つようになり、嵯峨蒔絵や光悦の作品が注目される。
昭和58年(1983年):「京漆器-近代の美と伝統-」が発刊され、明治以降の資料収集が行われ、業界の歴史、作品、工人の履歴が判明する。
昭和50年代後半~現代:伝統的な京漆器が再評価され、質の高い作品への消費者指向が変化。京都漆器工芸協同組合が活動し、伝統工芸品としての地位を確立する。

京漆器の歴史(詳細)

京漆器は、日本を代表する工芸品であり、英語で「ジャパン」と称されるほどの国際的な認知を得ています。この漆器の歴史は、縄文時代に遡り、早くから漆工が行われていたことがわかっています。漆は生活用具、仏具、武器、文房具など多岐にわたる用途で使われてきました。奈良時代には蒔絵技法が誕生し、平安時代にはさらに発展して研出蒔絵や平蒔絵が完成されました。鎌倉時代から室町時代にかけては、高蒔絵や肉合蒔絵が行われ、特定の蒔絵師を抱える文化が生まれました。この時代の作品は、「わび」「さび」の境地を示し、日本の漆工を代表するものとされています。

室町時代以降、京都は全国漆器産業の中心地として栄え、茶の湯の文化と共に漆器は全国に広まりました。安土桃山時代の京漆器は武士階級の趣味を反映し、華麗なものとなりましたが、江戸時代には豪華さの中にも繊細で緻密な趣が加わりました。京漆器の発展の背後には、数多くの名工たちの存在と、彼らによる品質とデザインの優秀性がありました。

昭和58年には「京漆器-近代の美と伝統-」が発刊され、明治以降分散していた資料の収集が行われました。これにより業界の歴史や作品、千人を越える工人の履歴が明らかにされ、先人たちの伝統の積み重ねが現在の京漆器とされています。近年、消費者の指向の変化により、純粋で伝統的な京漆器が再び注目されています。現在の京都漆器工芸協同組合は、伝統工芸士の資格を持つ工人や商部の協力のもと、高品質な作品作りと需要の拡大に努めています。京漆器は、その洗練されたデザインと技術で、特に高級品の茶道具、食器、調度品、家具などが製作され、日本の伝統工芸品としての地位を確立しています。

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