京うちわ

京うちわの歴史~優美な装飾と日本の伝統美~

京うちわの歴史を年代別にかんたんに紹介

前3世紀:うちわの起源が中国の周時代にさかのぼる。
6,7世紀頃:うちわが日本に伝わる。飛鳥時代の高松塚古墳の壁画にうちわを手にした人物が描かれる。
南北朝時代:京うちわの始まり。朝鮮団扇が紀州から大和を経て京都に伝わる。
877年:元慶元年と記された京都東寺の千手観音像の腕の中から発見された桧扇。
824~833年:御影堂で阿古女扇が作られる。
13世紀頃:京うちわが中国に輸出され、ヨーロッパに伝わる。
昭和52年:京うちわが経済産業大臣指定の伝統工芸品に指定される。

京うちわの歴史(詳細)

京うちわの歴史は、中国の周時代(前三世紀)にその起源を持つとされ、同時期にエジプトでも見られるなど、古代から世界各地で利用されてきた背景があります。日本には六、七世紀頃に伝わり、宮廷文化の中でも特に貴族の間で愛用されるようになりました。初期の日本におけるうちわは、飛鳥時代の高松塚古墳の壁画に描かれたように、顔を隠すために使用されたり、祭礼での使用など、涼をとるだけでなく様々な用途に使われていました。

京うちわは「都うちわ」とも呼ばれ、昭和52年に伝統工芸品に指定されるほど、その技術と美しさで知られています。起源は南北朝時代にさかのぼり、朝鮮団扇が紀州から大和を経て京都に伝わったことが始まりとされています。特に、「挿柄」という構造が京うちわ独特の特徴であり、土佐派、狩野派等の絵師によって描かれた御所うちわがその始まりです。この技法により、地紙の中に多くの竹骨を持つ朝鮮団扇の流れを汲み、団扇面と把手が別に作られる特徴を持ちます。

京うちわは、宮廷に用いられるだけでなく、能、狂言、舞踊、茶道、香道など多岐にわたる用途で使用され、その優美さで人々に喜ばれてきました。また、海外への輸出も行われ、特に13世紀頃には中国を経由してヨーロッパにも伝わり、ルイ王朝を彩るなど、国際的にもその美が認められました。

うちわの形態は時代と共に多様化し、京うちわは中国・朝鮮の流れを汲む形で発展してきました。現代においても、伝統的な技法を守りながら新しいデザインが生まれ続けており、涼を取る用具としてだけでなく、インテリアや美術工芸品としても価値が高く評価されています。

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