大阪で製造している伝統工芸品「大阪浪華錫器」。鈍い銀色とゴツゴツとしたシルエットが印象的で、重厚な雰囲気が漂います。見た目はアルミ製品とよく似ていますが、錫製品とアルミ製品では一体どのような違いがあるのでしょうか?
本記事では大阪浪華錫器の特徴や歴史、アルミ製品との違いを解説します。通販サイトで購入できるおすすめ商品も紹介するので、大阪浪華錫器に興味がある方はぜひ最後まで読んでみてください。
目次
大阪浪華錫器の読み方は?正しくは”おおさかなにわすずき”
大阪浪華錫器の読み方は、「おおさかなにわすずき」。「浪華」は現在の大阪府大阪市周辺の地域を指します。
渋い銀色の錫器には金属製品ならではの重厚感があり、特別な贈り物にしたり、いつもより高級感のある晩酌を楽しんだりできます。ここでは、そんな大阪浪華錫器の特徴やアルミ製品との違いを解説します。
大阪浪華錫器の特徴は?
大阪浪華錫器の特徴は、多くの工程を手作業で行っているところ。大阪浪華錫器に使う錫は軟らかく、機械で加工するとすぐに形が崩れてしまうため、職人が1つ1つ丁寧に手作業で作っています。
遠目からは同じような形でも、じっくり見てみると表面の凹凸の付き方が少しずつ違っていて、手作りならではの温もりを感じられるのが魅力。使えば使うほど錫器の色が変色することもあり、人生のお供として特別なプレゼントに人気の伝統工芸品です。
どんな物を作っているの?
大阪浪華錫器では、タンブラー・ワイングラス・ぐい吞み・ジョッキといった酒器を多く作っています。器の表面は職人の手によって美しく磨き上げられていて、口あたりは滑らか。
細かい凹凸にはビールの泡を生み出す効果があり、いつもより美味しくお酒をいただけますよ。シルバー1色のシンプルな錫器のほか、彩色や彫刻で装飾を施したものも制作しています。酒器の形もとても豊富なので、自分好みの錫器を見つけてみてください。
錫製品はアルミ製品より気密性に優れ耐久性に劣る
錫製品には、アルミ製品と比べると気密性に優れ、耐久性に劣る特徴があります。
大阪浪華錫器の気密性の良さを実感できるのは茶壷です。大阪浪華錫器の茶壷は厚みのある錫を削っています。職人の長年の経験による勘で作られたものは、開閉しやすいのに空気や湿気、紫外線を寄せ付けず茶葉を新鮮に保てるのが特色です。
一方で、アルミ製品と比べると耐久性に劣るというデメリットもあります。錫は軟らかい性質を持つため、うっかり落とすと器がへこんでしまうことも。
直火・冷蔵庫・電子レンジには基本的に対応していません。洗うときも食洗器や金属製のタワシ、研磨剤を使うことは避けて大切に扱うことが長持ちの秘訣です。
大阪浪華錫器の歴史
錫器が日本に伝来したのは今から約1300年前の奈良時代ごろ。当初は宮中に出入りするごく一部の特権階級の人が器として使ったり、有力な神社仏閣の行事にのみ用いたりしていた貴重品。
時代が進むにつれ、錫器は民衆へも普及していきます。延宝7年(1679年)刊行の『難波雀』には大阪浪華錫器に関する記述もあり、江戸時代中期になると大阪を代表する一大産業にまで発展。最盛期の昭和初期には300名以上の職人が腕を振るいました。
第二次世界大戦が勃発すると、技術を持った職人が戦争へ招集されたり、原料となる錫の入手が難しくなったりして大阪浪華錫器は窮地へと追い込まれます。それでも何とか伝統の技を受け継ぎ、昭和58年(1983年)には経済産業大臣指定の伝統的工芸品になりました。
大阪浪華錫器の代表的な製造元「大阪錫器株式会社」
社名→大阪錫器株式会社
創立→設立1949年12月
代表→今井 達昌
所在地→〒546‐0031 大阪市東住吉区田辺6丁目6番15号
電話番号→06-6628-6731
営業時間→営業時間 9:00 〜 17:00(土日祝日を除く)
企業HP→http://www.osakasuzuki.co.jp/
タンブラーやぐい呑みなど豊富な種類の大阪浪華錫器10選
大阪浪華錫器で主に生産しているのは酒器です。一口に「酒器」と言っても、タンブラーやぐい吞み、ワイングラスなど種類はとても豊富。中にはデザインに凝ったものもあり、どれを選ぶか迷ってしまうほどです。
ここでは酒器を中心に、大阪浪華錫器のおすすめ商品を紹介します。
本錫タンブラー
シルバー1色のシンプルなタンブラーです。タンブラーの内側には細かい凹凸が付いていて、注ぐだけでビールの細かい泡を作ることが可能。表面もデコボコしているので、手が滑りにくくしっかりとタンブラーを握り込めます。また、唇が当たる箇所はツルツルとしており、口当たりがよいのが魅力です。
容量は180mlとちょうどよい大きさで、1個持っておくと食事や晩酌など様々なシーンで使用できます。お届けの際は木箱に入れて配達されるので、特別な贈り物にもおすすめです。
錫製タンポセット
商品名→錫製タンポセット 風花
価格→税込28,548円 ※変更の可能性あり
本体サイズ→
タンポ:φ6.8cm×4.5cm、容量約250ml×1
ぐい呑み:φ4.5cm高さ5cm、容量約55ml×2
素材→錫
「タンポ」という徳利の役割を担う酒器と、ぐい吞み2口がセットになった商品です。タンポの取手は竹を編んだようなデザインで、和のテイストを加えているのが注目ポイント。表面は鈍い金色であたたかみがあり、和室や床の間のゆったりとした雰囲気によく合います。
ぐい吞みは手のひらにちょこんと乗るかわいらしい大きさで、少しずつお酒を味わうのにぴったり。ペアセットのため、夫婦や恋人との晩酌用におすすめです。
錫製富士山ぐい呑
富士山をデザインに取り入れたぐい吞みのペアセットです。ぐい吞みを逆さにして、底面を上にすると富士山の形になる遊び心が魅力。
雪がかぶっているところは錫のツヤ感を残し、山頂以外は彫刻と彩色を施して木々がうっそうと茂っている様子を表現しています。赤いぐい吞みは、葛飾北斎が描いた『富嶽三十六景』に登場する「赤富士」のように見えるのが特徴。日本ならではの趣を感じられる、素敵なぐい吞みのセットです。
錫製ジョッキ
容量400mlの大きなジョッキです。錫は熱が伝わりやすい性質を持っており、キンキンに冷えた飲み物を注ぐと冷たさが一気にジョッキ全体へ広がります。ジョッキの表面に水滴が付いてきたら飲みごろのサイン。
ジョッキの表面と内側には凹凸を付けており、ビールの繊細な泡を作り出します。飲み口は厚みのある錫を丁寧に磨き、つるりとした口当たりでどんどん飲み物を飲み進めることが可能。取手が付いているのが嬉しいポイントで、持った時の安定感を保ちながら晩酌を楽しめる商品です。
錫製茶壺
日本茶やほうじ茶などの茶葉を保管するために使う茶壷です。表面には職人の手によって松・竹・梅の絵柄が描かれています。縁起の良いデザインなので、結婚祝いや引っ越し祝い、家族の還暦祝いなどの贈り物におすすめです。ずんぐりとしたフォルムには存在感があり、つい視線を向けてしまいそうになります。
大阪浪華錫器は気密性に優れているため、長期間茶葉を入れていても湿気たり風味が落ちたりしにくいのが魅力。約110gの茶葉を入れられる、実用性に優れた茶壷です。
ぐい吞み
様々な花の絵柄をあしらった、豪華なぐい吞みです。梅や菊、紫陽花などを想像させるモダンなデザインで、食卓に花を添えられます。底面にも菊の花びらのような装飾を施していて、飲み物を注ぐ前にじっくりぐい吞みだけ鑑賞したくなるような一品。
ぐい吞みの内側はつるつるになるまで磨かれており、お酒をスルっと飲み進められるのが魅力です。色は黒・赤・青など豊富に展開しているので、自分好みのものを見つけてみてください。
酒器セット(千呂利・ぐい呑み)
商品名→大阪錫器 酒器セット初瀬
価格→税込20,900円 ※変更の可能性あり
本体サイズ→千呂利:約 6.1φ×10.5cm、約 260g、約 210ml
ぐい呑み:約 4.7φ×4.3cm、約 98g、約 55ml
素材→錫
徳利のように、お酒を入れておくために使用する千呂利(ちろり)です。取手が付いており、盃に中身を注ぎやすいのが魅力。竹ひごを巻き付けたような取手のデザインが、和の雰囲気を演出しています。
錫は熱伝導性に優れているためそのままでもお酒の冷たさを保てますが、氷を入れた器に千呂利を入れておくとさらに冷たさを保てます。お風呂上りに飲むキンキンに冷えたお酒は格別。晩酌用のアイテムを探している方は要チェックです。
ワインカップ
ワインは透明なガラス製の大きなグラスに注ぐのが一般的かと思います。ですが、たまには趣向を変えて、錫でできた大人っぽいワインカップで飲んでみてはいかがでしょうか。
商品名の通り、カップの表面にはさざ波のような細長い凹凸を施しています。カップを支えるプレートは面積が広めのため、テーブルに置いたときの安定感は良好。容量は100mlでワイングラスと比べると小さめのため、ちょっとずつワインを飲み進めるのにおすすめです。
小皿 5枚組
丸・四角・八角形など様々な形の小皿が5枚セットになった商品です。1皿1皿形だけでなく凹凸の付け方も違っていて、「今日はどの小皿を使おうか」と食器選びから食事を楽しめるのが魅力。丸が2つ重なったような形の小皿は木目、長方形の小皿は亀の甲羅をイメージできます。
いずれも中心に向かってお皿の形がへこんでいて、乗せたものがこぼれにくいのが嬉しいポイント。副菜を盛り付けるための小皿を探している方におすすめの商品です。
ジョッキ
指の形に合わせてカーブさせた持ち手が特徴的なジョッキです。持ち手はナックルのようなデザインで、重厚な錫器に無骨さを加えています。
ジョッキの表面には小さい凹凸を付け、穏やかなさざ波を表現しているのが注目ポイントです。容量は500mlで、缶ビール1本の中身を丸ごと注ぐことが可能。のどが渇いたときは大阪浪華錫器のジョッキを使って、冷やしたビールを勢いよく口の中へ流し込んでみてください。
最後に
タンブラーやジョッキ、ぐい吞みといった酒器を主に生産している大阪浪華錫器。つるりとした表面は口あたりがよく、凸凹の表面にはビールの細かい泡を生み出す効果があり、普段よりお酒をおいしくいただけるのが魅力です。
飲み物の種類によっては少しずつ錫器の色が変わるのが特徴の1つで、自分だけの味が出てくる様子は特別感を覚えられるでしょう。なかには彫刻や彩色を施したものもあり、デザインのバリエーションはとても豊富です。自分へのご褒美や特別なギフトに、ぜひ大阪浪華錫器を選んでみてくださいね。