岩谷堂簞笥の歴史を年代別にかんたんに紹介
1100年代(康和年間):岩谷堂箪笥の起源とされる時期。藤原清衡が産業奨励に力を注いだ時代。現在のような箪笥ではなく、長持のような大型の箱の形状だったとされる。
1781~1788年(天明年間):岩谷堂城主・岩城村将が家臣の三品茂左衛門に車付箪笥や長持の商品化の研究を命じる。この時期が具体的な岩谷堂箪笥の始まりとされる。
昭和30年代:岩谷堂箪笥生産が一時低迷。
昭和40年代初め:東京のデパートでの展示会を契機に、首都圏での岩谷堂箪笥の需要が増大。
昭和57年3月:岩谷堂箪笥が国の伝統的工芸品として指定を受ける。
平成9年:岩谷堂箪笥の販売が最高額を記録。
岩谷堂簞笥の歴史(詳細)
岩谷堂箪笥の起源は平泉が栄えていた頃の康和年間(1100年代)にさかのぼるとも伝えられ、藤原清衡が産業奨励に力を注いだ時代がその根底にあります。当時は現在のような箪笥ではなく、長持のような大型の箱のようなものだったと考えられています。その後、天明年間(1781~1788年)に、岩谷堂城主・岩城村将が家臣の三品茂左衛門に車付箪笥や長持などの木工家具の商品化を研究させ、岩谷堂箪笥の製作や塗装の技術を進化させました。岩谷堂(現在の奥州市江刺区)は、平泉文化を築いた藤原氏の初代・清衡が平泉に移るまでの約30年間ここを本拠地としていたこともあり、鋳金や木工などの工芸の伝統は古くから存在していました。
18世紀後半に岩城村将は、米だけに頼る経済からの脱却を図り、木工品の商品化を研究。昭和30年代には、一時期岩谷堂箪笥生産は低迷しましたが、昭和40年代初めに東京のデパートでの展示会を契機として首都圏での需要が開拓され、平成9年には最高の販売額を記録。昭和57年3月には国の伝統的工芸品の指定を受け、技術の継承と後継者の育成に注力しています。伝統を生かしながら、現代の生活にマッチした岩谷堂箪笥は、岩手県産株式会社から全国各地に出荷され、民芸家具として高い評価を受けています。