コラム

たくさんある!「お坊さん」にまつわる言葉

普段何気なく使っている言葉も、よく考えてみると、おもしろい発見が待っています。
今回は、「お坊さん」に関連した言葉をご紹介します。

「お坊さん」の語源

まずは、「お坊さん」や「坊主」という言葉の由来を確認しましょう。どちらにも共通して含まれている「坊」という漢字が気になりますね。

この「坊」というのは、奈良時代・平安時代の都城制で整備された一区画のことです。のちに、この「坊」は、寺院を指すようになり、次第に、そこに住む僧のことも指すようになりました。このようにして、「お坊さん」「坊主」という言葉が生まれたのです。

「お坊さん」が語源の言葉

三日坊主

「三日坊主」は、飽きっぽくて長続きしないことを表す言葉です。「今年こそは日記をつけようと思ったのに、三日坊主で終わっちゃった」などとよく言いますよね。でも、よく考えてみれば、どうして「坊主」という言葉が含まれているのでしょう?

これは、もともと「三日坊主」がその言葉の通り、「三日だけのお坊さん」がいたことに由来します。「三日だけのお坊さん」とは、厳しい修行に耐えられなくなり、三日で俗界に戻ってしまうの人のことを指して言いました。僧の修行は、朝早くからはじまり、質素な食事、と俗界で生活していた人にとっては、ちょっとやそっとの心構えでは嫌になってしまうのだそうです。

大袈裟(おおげさ)

「大袈裟」とは、物事や話を実際以上に誇張することを言います。この言葉を使うとき、あまり意識していないかもしれませんが、この言葉も「お坊さん」にまつわる言葉。

「大げさ」とひらがなで書くことも多いですが、漢字にすると、「大袈裟」。お坊さんが着る法衣である「袈裟」が含まれていますね。「大きな袈裟」ってどういうことなんでしょう?

「大袈裟」の語源は、天台宗のホームページにはこのように載っています。

「袈裟」は、現在では本来の意味と大分違って、金襴の刺繍が入っていたりして、派手な図柄も多くみうけられます。(中略)儀式などに用いられる袈裟は、それこそ仰々しい位の衣装もあったりして、周囲からすればいささか度が過ぎた「大袈裟」ぶりが、この言葉の語源でしょう。

出典:www.tendai.or.jp

ここで言われている「本来の意味」というのは、「袈裟」が元々は、粗末な修行服だということを指します。「袈裟」の始まりは、王位を捨て城を出た釈迦が、立派な服から変えた粗末な服に由来するのです。

また、ある一説では、「大それた、大胆な」という意味の古語「おおけなし」と、同源の「大気さ(おおげさ)」という言葉が、「大袈裟」という表記になった、とも言われています。

同音であるだけでなく、意味的にも親和性があったから、「大袈裟」という表記になったのでしょうね。

「お坊さん」の名前が語源の食べ物

たくあん

生干しした大根を、漬物にした「たくあん」。この「たくあん」という言葉は、「沢庵」という名のお坊さん(1573~1645)に由来するという説があります。

沢庵さんは、江戸時代初期の臨済宗のお坊さん。なんでも、彼が作り始めたとか、彼が広めたとか、彼の墓石が漬物の石に似ているから、などなど、沢庵さん関連でも諸説あるようです(笑)

また、他にも、彼とは無関係に、「貯え漬け」がなまったという説もあります。
色々な説があるのですね!

いんげん豆

「いんげん豆」は、禅宗の僧である隠元隆琦(いんげんりゅうき)に由来します。彼は、今の中国である明から来た渡来僧で、日本に黄檗宗(おうばくしゅう)というそれまで日本になかった新しい禅宗を伝えました。

そんな彼が日本にもたらしたのが、「いんげん豆」。とは言っても、彼が渡来する前から、「いんげん豆」は日本で栽培されていました。もともとは「ふじ豆」と呼ばれていたそうです。

しかし、中国から、新しい禅宗や、書道・茶道・料理文化などを伝えた隠元さんは、日本では一躍時の人!だから、その流行に乗っかって、元からあった「ふじ豆」を「いんげん豆」と呼んで親しんでいたのです。

おわりに

いかがでしたでしょうか?
「お坊さん」に関連した言葉の語源、楽しんでいただけましたか?
普段から何気なく使っている言葉も、どんな語源なのかな?と考えてみるとおもしろい発見が待っていますね!

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