九谷和グラス

九谷和グラスってどんな工芸品?特徴・魅力・作り方を徹底解説

石川県能美市に本社を置く、清峰堂が製造販売している九谷和グラス

脚に九谷焼、グラスに江戸硝子を取り入れており、2つの日本の工芸品が融合しているのが特徴です。SNSや口コミでどんどん人気が高まっており、九谷和グラスが気になっている方もいるのではないでしょうか。

「九谷和グラスって、どんなグラスなの?」
「普通のグラスと何が違うの?」
「価格の相場はどれくらいなのかな?」

そんな方に向けて、本記事では九谷和グラスの誕生秘話や製作手順、価格の相場などを徹底解説します。最後に九谷和グラスを購入できる実店舗と通販サイトも紹介しているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

九谷和グラスとは一体なに?

九谷和グラスとは、九谷焼と江戸硝子を融合させたグラス製品のことです。九谷焼と江戸硝子は、どちらも日本の伝統工芸品。グラスの脚は九谷焼、飲み物を注ぐグラス部分は江戸硝子でできており、焼き物ならではの重厚感とガラス特有の華やかさを兼ね備えているのが特徴です。

ワイングラスやおちょこといった酒器のほか、麦茶などを注いで使えるオーソドックスなグラス類など、さまざまな製品が作られています。酒器のなかには燗酒を作れるチロリがセットになっているものもあり、ラインナップはとても豊富です。

伝統工芸品ならではの高級感と上質感を備えているため、九谷和グラスは結婚祝いや還暦祝いなどの贈り物としても人気があります。グラスの脚の絵柄や、グラス部分の形状のバリエーションが幅広く、「これだ!」と思う一品をきっと見つけられますよ。

【九谷和グラスの歴史】なぜ江戸硝子と九谷焼をあわせたのか?

九谷和グラスを製造しているのは、石川県能美市に本社を構える清峰堂です。もともとは九谷焼を製造販売している会社だったのですが、のちに九谷和グラスを開発しました。ここでは江戸硝子と九谷焼を合わせることになった理由と、それぞれの工芸品の歴史を解説します。

九谷和グラスの誕生秘話

九谷和グラスが誕生したきっかけは、生活様式の変化。花瓶や香炉といった調度品の需要が今後減っていくだろうと考えた清峰堂の人々が、現代の生活に溶け込む製品を作ろうと思い立ったのが始まりです。

そこで注目したのが、ガラスと磁器の融合。しかし、かつてはガラスと磁器のような異素材を組み合わせるのは至難の業とされていました。うまく接合できたと思っても、2~3カ月ほどで取れてしまうのが業界内での定説だったのです。

清峰堂では平成7年からガラスと磁器を接合させる技術の開発に取り組み、2003年に満足できる結果を得られました。発売当初は「異素材の接合は取れやすい」という意見が根強かったのですが、2006年のグッドデザイン賞の受賞によりマイナスのイメージを払拭。現在、九谷和グラスは日々の生活を彩る製品として、多くの人からの人気を集めています。

九谷焼と江戸硝子それぞれの歴史について

九谷和グラスは、脚に九谷焼、グラスに江戸硝子を使用しているグラス製品です。ここでは、九谷焼と江戸硝子について解説します。

九谷焼の歴史

 九谷焼の歴史は、1655年に後藤才治郎が江沼郡九谷村(現在の石川県加賀市)で磁器の製作をしたのが始まりとされています。しかし、原因はわかりませんが100年もしないうちに製作が止まってしまいました。

1800年以降に九谷焼の生産が再開し、明治時代になると日本を代表する輸出品として海外で人気を博すようになります。極彩色の華やかな色遣いと、力強く繊細な筆致が九谷焼の魅力です。

江戸硝子の歴史

江戸硝子の製作が始まったのは、18世紀の初めとされています。当初は簪や風鈴などを作っていました。明治時代になると文明開化によって近代化に成功し、東京の地場産業として発展した。現在も全ての工程を職人の手で行っており、手作業ならではぬくもりを感じられると評判です。

九谷和グラスの作り方は?セミオーダーについても解説

日本の伝統工芸品である九谷焼と江戸硝子を融合させた九谷和グラス。土とガラスという異なる素材を、どのように加工して九谷和グラスを作っているのでしょうか?ここでは、九谷和グラスの作り方を解説します。

自分好みの九谷和グラスを簡単に注文できる、清峰堂のセミオーダーについても紹介するので、興味のある方は要チェックですよ。

九谷和グラスの作り方

九谷和グラスを製作する手順は、初めに脚とグラスの部分を分けて作り、最後に2つのパーツを繋ぎ合わせるのが大まかな流れです。脚の部分にあたる九谷焼の製作手順は、大きく8つの工程に分けられます。

1、焼き物に適した土づくり
2、土を脚の形に成形
3、2を一度乾燥させる
4、乾燥させた脚を窯で素焼きにする
5、脚に下絵を描く
6、脚に釉薬を塗る
7、高温の窯で長時間焼く
8、上絵付けをして完成

加えて、グラスの部分にあたる江戸硝子の基本の製作手順は、以下の7工程です。

1、ガラスを溶かして水飴のようにドロドロにする
2、吹き棹でドロドロのガラスを巻き取る
3、「リン」という道具を使ってガラスの形を整える
4、ガラスに息を吹き込んでグラスの形を作る
5、ポンテ棹を吹き棹の反対側に取り付け、吹き棹を取り外す
6、ポンテ棹に取り付けたガラスを再度窯に入れて成形する
7、冷却器でゆっくりと冷やして完成

脚とグラスができたら、清峰堂が独自に開発した技術で2つのパーツを繋ぎ合わせて、九谷和グラスの完成です。九谷焼も江戸硝子も手作業で作るため、手作りならではのあたたかみを感じられますよ

九谷和グラスをセミオーダーで注文する手順をわかりやすく解説

清峰堂では、さまざまなデザインが載ったカタログから好きなものを選んで注文する「セミオーダー」方式を採用した商品もあります。セミオーダーの手順は、以下の通りです。

1、グラスの形を選ぶ
2、脚のデザインを選ぶ
3、ガラスのデザインを選ぶ
4、注文用紙に記入もしくはオンラインショップで商品を選択して注文
5、注文から1週間以内に発送

清峰堂のセミオーダーで選べるグラスの形は17種類もあります。脚のデザインはグラスの形によって異なり、それぞれ50種類のなかから1つだけ選ぶことが可能です。ガラスのデザインは5種類あり、自分好みのグラスにカスタマイズして注文できますよ

特に脚のデザインは季節の花を描いたものや、おしゃれな幾何学模様を描いたものなど、バリエーションがとても豊富。九谷和グラスを使う場面や、贈る相手のことを想像しながら「これだ!」と思えるグラスを注文できるのが、セミオーダーの魅力です

九谷和グラスの魅力について

九谷和グラスの魅力は、土とガラスという異素材を絶妙に組み合わせているところ。どっしりとした重厚感のある焼き物の上に、つるりと美しいグラスを乗せ、独自の華やかさを演出しています。

特に、九谷焼でできた脚のパーツは注目ポイントです。日本の伝統的な絵柄だけでなく、モダンなリーフ柄やおしゃれな幾何学模様など、さまざまな種類のデザインが用いられています。絵柄1つでグラス全体の雰囲気がガラリと変わり、グラスを使う人や場面に合わせたオリジナリティ溢れる一品を選ぶことが可能です。

ガラスでできたグラスの部分も、よく見ると緩やかにカーブさせたものや、さりげなく模様を描いたものがあります。グラスがシンプルなら脚は華やかにしたり、グラスに装飾を施しているなら脚の彩色は控えめにしたりしており、上品かつバランスがよいデザインものをラインナップしています。

九谷和グラスにはどんな商品がある?

九谷和グラスの製品は、ワイングラスやロックグラスなどの酒器が中心です。どれも透明なグラスと華やかな脚のコントラストが美しく、どれを購入するか迷ってしまうほど魅力的。酒器以外にも、フリーグラスやデザートグラスも販売しているため、普段あまりお酒を飲まない方にも九谷和グラスはおすすめですよ。

九谷和グラスの価格帯

九谷和グラスの価格帯は5,000円台〜50,000円台と、とても幅広いです。5,000円~10,000円だと、手のひらサイズの小さなグラスや普段使いしやすいグラス類、デザートグラスが中心。「自分用にちょっといいグラスを買ってみたい」という方におすすめですよ。

10,000円を超えると、脚に金色の装飾や伝統的な模様をあしらった高級感のあるものや、ペア製品が増えていきます。結婚祝いや長寿のお祝いなどの贈り物を探すときは、10,000〜20,000円台の九谷和グラスを探してみるのもよいでしょう。

20,000円以上になると、ショットグラス2客と日本酒を温める「チロリ」のセットや、脚に繊細かつ華やかな絵を描いた赤ワイングラスのセットなどが多くなります。

九谷和グラスをセミオーダーする場合の価格帯

九谷和グラスをセミオーダーする場合の価格帯は、4,000円台〜15,000円台です(2022年11月25日現在)。グラスのサイズが大きく、九谷焼や江戸硝子の装飾が華やかなものほど高額になる傾向にあります。

4,000円〜5,000円台なら、購入しやすく感じる方もいるのではないでしょうか。九谷和グラスに興味があり、お試しで使ってみたいときはセミオーダーがおすすめですよ。

九谷和グラスはどこで買える?

九谷和グラスは、北海道から九州まで日本各地のお店で購入できます。九谷和グラスを扱っている通販サイトもたくさんあるため、遠方に住んでいても簡単に注文することが可能です。ここでは、九谷和グラスを購入できる主な実店舗と通販サイトを3つずつ紹介します。

実際に目で見て商品が選べる実店舗

実店舗の魅力は、実物を見ながら購入するものを選べるところです。色・大きさ・形を、画面を介さずじっくりと見られるので、納得のいく買い物がしやすいですよ。

購入したら自宅に持ち帰り、すぐに使い始められるのもメリットです。九谷和グラスは全国の百貨店でも取り扱っているので、清峰堂の公式サイトから近くの取扱店舗を見つけてみてくださいね。

ギャラリー陶創館

住所→〒923-1102 石川県能美市新保町ヲ48
営業時間→9:00~17:00
電話番号→0761-57-2133

ギャラリー陶創館は、九谷和グラスの製造元である清峰堂の本社のすぐ近くにある直営店です。壁や棚には、清峰堂で製造した九谷焼や九谷和グラスの製品がずらりと並んでいます。品ぞろえが豊富で、1つ1つをじっくりと吟味しながら選べるのがおすすめポイント。石川県能美市周辺に住んでいる方や、旅行等で能美市を訪れる方はぜひ立ち寄ってみてください。

金沢百番街 金沢九谷

住所→〒920-0858 石川県金沢市木ノ新保町1−1
営業時間→8:30~20:00
電話番号→076-260-3710

金沢百番街 金沢九谷は、JR金沢駅の構内にあるショッピング街「金沢百番街」の一角にお店を構えています。九谷焼の製品をたくさん販売しているのが特徴。重厚な焼き物が所せましと並べられている様子は圧巻です。JR金沢駅のコンコースのすぐ近くに位置しているため、在来線や新幹線に乗って金沢を訪れる時に便利ですよ

石川県アンテナショップ いしかわ百万石物語 江戸本店

住所→〒104-0061 東京都中央区銀座2-2-18 TH銀座ビル
営業時間→10:30~19:00
電話番号→03-5579-5890

東京メトロ銀座一丁目駅の4番出口を出てすぐのところにある石川県アンテナショップいしかわ百万石物語 江戸本店。石川県の特産品を幅広く扱っており、そのなかに九谷和グラスも含まれています。JR有楽町駅からのアクセスもよく、首都圏にお住いの方におすすめのお店です。

通販で購入できるおすすめサイト

通販サイトの魅力は、実店舗まで出向かなくても商品を購入できるところです。九谷和グラスを扱っている実店舗が近くにないときや、体調が悪く外出しにくいときにも重宝します。ベッドに寝転がりながら、閉店時刻を気にせず心ゆくまで商品を選べるのもメリットです。

清峰堂 公式通販サイト

URL→https://seihou-do.shop/
お問い合わせ先→https://www.seihou-do.com/contact/

ハレトケギフト

URL→https://haretoke.gift/
お問い合わせ先→https://haretoke.shop-pro.jp/secure/?mode=inq&shop_back_url=https%3A%2F%2Fharetoke.gift%2F&shop_id=PA01478366

最後に

九谷和グラスは、九谷焼の脚の華やかさと、江戸硝子のグラスの繊細さが融合した、魅力的で新しい工芸品です。価格帯は4,000円台〜で、ちょっといいショットグラスやワイングラスを購入できます。

自分好みのグラスを使ってみたい方は、製造元の清峰堂でセミオーダーをするのもおすすめです。ギフト用にぴったりの製品もラインナップしているので、ぜひ九谷和グラスをチェックしてみてください。

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