常滑焼は、日本六古窯のひとつであり、その歴史と伝統が生み出す美しい焼き物は世界中で評価されています。
本記事では、その魅力のひとつである「常滑焼の作り方」について詳しく解説します。
1. 朱泥を用いた土作り
常滑焼の作り方の基本となる素材は、特徴的な朱泥です。朱泥は酸化鉄を多く含み、水に強く、急須の素材に適しています。
また、鉄分が多いため、赤褐色の美しい焼き物が作れるのが特徴です。
2. 成形
常滑焼の成形は、手ひねりやろくろを使った伝統的な技法が用いられます。
手ひねりでは、職人が土を直接手で成形し、ろくろでは、回転する板の上で土を成形していきます。
丁寧な手仕事によって、独特の形や風合いが生み出されます。
3. 各部分の仕上げ
水分が蒸発して適当な固さになったら、へらなどを使って余分なところを削っていきます。
胴とふたの大きさを合わせながら何度も合わせを確認しながら慎重に削っていき、できた各部分を丁寧に磨きます。
この段階でどれだけ細かく仕上げられるかが、質の高い製品となるかのポイントです。
4. 組み立て
胴体に特殊な道具を使って丸い穴を開け、まず茶こしを取り付け、口や取っ手などを取り付け、できあがった各部分を組み立てます。
職人の長年の勘で慎重に乾燥具合や固さを確認しながらなじませる必要があり、組み立て時点での乾燥具合や固さの状態も慎重に確認します。
5. 乾燥
組み立てた急須を乾燥させます。気温や湿度など微妙な変化によって乾燥具合は変わるため、調整しながら乾燥させる必要があります。
6. 素地みがき
素地みがきとは、乾燥させた製品を布などで何度も何度も磨くことで艶を出す作業です。
朱泥独特の美しい艶を生み出すために欠かせない工程です。
7. 彫刻
焼成前に、模様を入れていく工程です。印刀を使ってさまざまな模様を彫っていきます。
8. 焼成
窯入れと呼ばれる工程で1100度程度の高温で12~18時間焼き上げます。窯の温度を10度変えただけでも焼き色が大きく変わるため、現代ではコンピューター制御によって安定した温度を保っています。
焼成後、一日ほど窯の中で冷ますことで20%程度縮み、美しい朱色が生まれます。
9. 墨入れ、水洗い
窯から取り出した急須は最後にもう一度磨き上げ、彫刻した箇所に墨を入れて水で洗い流すことで、彫られた模様がはっきりと浮かび上がってきます。
10. 仕上げ
最後に、朱泥の急須を完成させるために、胴体とふたを入念にすり合わせ、ふたのガタツキがない気密性の高さを目指します。
以上が、常滑焼の作り方についての解説です。伝統的な技法や素材が生み出す美しい焼き物は、その手間と時間をかけた製造工程からこそ生まれるものです。
ぜひ、常滑焼の美しさや技術を手に取って感じてみてください。