結城紬の歴史を年代別にかんたんに紹介
紀元前2000年: 多屋命によって「長幡部絁」が作られる。これが結城紬の起源とされる。
700年: 奈良時代中期、常陸国から朝廷に絁が献上される。これが結城紬の原型とされる。
1000年: 平安時代、「常陸絁」と呼ばれるようになる。
1185年: 鎌倉時代、関東の武士に愛用され、「常陸紬」と呼ばれるようになる。
1336年: 室町時代、全国的に著名な物産となり、「結城紬」と名付けられる。
1603年: 江戸時代、『和漢三才図会』に最上品の紬として紹介される。
1868年: 明治時代、絣模様が結城紬に取り入れられる。
1956年: 糸紡ぎ、絣くくり、機織りの3つの技術が国の重要無形文化財に指定される。
1977年: 結城紬が国の伝統的工芸品に指定される。
2010年: 結城紬がユネスコ無形文化遺産に登録される。
結城紬の歴史(詳細)
結城紬の歴史は約2000年前に遡り、その起源は美濃から茨城の久慈郡に移り住んだ多屋命によって作られた「長幡部絁」にあります。奈良時代中期には、この地の絁が常陸国から朝廷に献上され、東大寺正倉院に保管されており、これが結城紬の原型とされています。平安時代に「常陸絁」、鎌倉時代には「常陸紬」と呼ばれ、関東の武士にも愛用されました。結城地方が生産の中心になり、この時期に結城氏の名を取って「結城紬」と呼ばれるようになりました。
室町時代には全国的に著名な物産となり、幕府や関東管領に献上されました。江戸時代にはさらに改良が加えられ、『和漢三才図会』に最上品の紬として紹介されました。江戸末期には絣模様が取り入れられ、明治時代には緻密な絣に挑戦する者が現れました。明治後期には縮織の技法が導入され、絣模様を仕組んだ縮織は平織を凌ぐ人気を得ました。
第二次世界大戦中は贅沢品の禁止令により低迷しましたが、戦後は縮織を中心に生産が回復しました。1956年には糸紡ぎ、絣くくり、機織りの3つの技術が国の重要無形文化財に、1977年には国の伝統的工芸品に指定され、現在は9割以上が平織です。2010年にはユネスコ無形文化遺産に登録され、日本が世界に誇る文化となりました。