東京手描友禅の歴史を年代別にかんたんに紹介
1603: 徳川家康が江戸幕府を開設。京から大名のお抱え染め師や絵師が江戸に移り住む。
1673: 日本橋に越後屋呉服店(現・日本橋三越)が開設。染工場が神田川上流に設立。
1684-1687: 宮崎友禅斎により友禅染めが創始される(貞享年間)。
1804-1827: 文化・文政期、江戸で友禅染が盛んになる。
1980: 東京手描友禅が通産大臣により伝統的工芸品に指定される。
東京手描友禅の歴史(詳細)
東京手描友禅の歴史は、江戸時代の貞享年間(1684-1687)に京都の絵師、宮崎友禅斎が創始したことに始まります。宮崎友禅斎、本名は日置清親(ひおききよちか)で、友禅の号を用いていました。彼は元々扇面絵師として知られ、呉服屋の依頼で小紋模様の図案を描き、多彩色の模様染めで人気を博しました。この技術は、美術史上著名な尾形光琳によっても手がけられました。
徳川家康が1603年に江戸幕府を開設した際、京都から多くの染め師や絵師が江戸に移り、技法が伝承されました。江戸時代に入って、東京手描友禅は、町人文化の発展と共に、社会的に洗練された服装が求められるようになり、単彩で粋な特色を持つ工芸品として発展しました。1673年に日本橋に越後屋呉服店(現・日本橋三越)が開設され、その染工場は神田川上流の東京山の手(現在の新宿区高田馬場付近)に設立されました。今日でも新宿区には多くの染師が立地しています。
最終的に、1980年に東京手描友禅は通産大臣(現経済産業大臣)により伝統的工芸品に指定されました。この工芸品は、構想図案から仕上げまでの工程を作者の一貫作業で行い、その中でも単彩の中に秘められた美しさと気品が特徴です。