京指物の歴史を年代別にかんたんに紹介
奈良時代:京指物の源泉が奈良朝の宮廷や寺院での木工芸にさかのぼり、正倉院に独自の木工芸が発展。
平安時代:京指物が起源とされ、宮廷での箱物類や寝殿造りの一部として活用された。この時代には工芸品の技法と意匠が花開く。
室町時代:指物師と呼ばれる専門職が誕生し、公家を中心に調度品が生産される。茶道文化と共に京指物が発展。
鎌倉時代:足利氏に代表される武家を中心に高い工芸文化が発展。
江戸時代:豊かな町人文化と簡素な美を求めた茶道文化が、京指物を育てる環境を提供。
現代:多様な技法を使って表情豊かな作品が制作されており、京都漆器工芸協同組合が活動している。
京指物の歴史(詳細)
京指物の歴史は、平安時代にその起源を見つけることができ、宮廷で使われる箱物や寝殿造りの一部として活用されていました。この木工芸は、板と板、板と棒、棒と棒を組み合わせて作られ、当初は大工職によって作成されていましたが、室町時代に入ると指物師と呼ばれる専門職が誕生しました。これらの職人は公家を中心に、箪笥や机などの調度品を生産していました。茶道文化の開花に伴い、茶道具の一部としても使用されるようになり、京指物はさらに発展しました。
京指物の源泉は奈良時代にさかのぼり、正倉院に見られるような独自の木工芸が豊かな木材資源を基に発展してきました。石や金属の文化が中国や朝鮮から伝来したものの、日本では木を素材として模倣し、独自の工芸として開花させてきました。京都が都としての役割を担うようになり、約1200年にわたり、工芸文化が育まれてきました。鎌倉、室町時代には、足利氏をはじめとする武家を中心に工芸文化が発展し、さらに茶道文化や江戸時代の町人文化が京指物を育てる環境を提供しました。
京の木工芸は、指物、彫物、挽物(轆轤細工)、曲物、箍物(たがもの)、刳物(くりもの)を包括しており、それぞれ独自の技法を駆使し、調度や茶道具、香道具類が作られています。古代より豊かな森林資源に恵まれた日本では、縄文・弥生時代の遺跡からも加工された木製品が多く出土しており、奈良時代には正倉院の御物に技術が集約され、平安時代には公家や寺社によって技法や意匠が花開きました。そして、武家文化や町人文化、茶道文化が京の木工芸を育ててきました。現在も京都では、文化・歴史的風土や文物の蓄積を背景に、多様な技法を用いた表情豊かな作品が制作されています。