出雲石燈ろうの歴史を年代別にかんたんに紹介
奈良・平安時代
- 出雲石燈ろうの製作起源がさかのぼる時期。当初はみかげ石を使用。
江戸時代
- 出雲石燈ろうの製造が盛んになり、宍道町来待地区で産出する来待石の使用が始まる。松江藩主松平直政によって品質が認められ、藩外持ち出し禁止の「御止石」として保護される。
昭和51年(1976年)
- 出雲石燈ろうが石工品としては全国で初めて国の伝統的工芸品に指定される。
出雲石燈ろうの歴史(詳細)
出雲石燈ろうの製作起源は奈良、平安時代にさかのぼりますが、江戸時代に入ってから盛んになりました。初期にはみかげ石を用いていたが、後に宍道町来待地区で産出する粒子の細かい軟質の砂岩である来待石を材料として使用するようになりました。来待石は色彩が良く、早く苔がついて古色を帯び、自然とよく調和するため、石の美術品として人気が高いです。耐熱耐寒性に優れ、風化しにくく加工しやすい特性を持っています。
江戸時代には、松江藩主松平直政公によってその真価が認められ、藩外持ち出し禁止の「御止石」として建材用としても使用されました。廃藩後は造園、室内装飾などに欠かせない石の美術品として全国に広まりました。出雲石灯ろうの独特な技法と美的調和のとれた気品の高さは、仏教美術や庭園工芸の影響を受けており、全国の庭園で愛用されています。
昭和51年には、石灯ろうとしては全国で初めて、通産大臣(現在の経済産業大臣)認可の伝統工芸品に指定され、その品位を高め、ますます全国各地へ出荷されています。出雲石灯ろうは、熟練工の手によって一品一品入念に制作され、種類も豊富で島根県の代表的な地場産業品目の一つとして位置づけられています。