阿波正藍しじら織

阿波正藍しじら織の歴史~生地の凹凸により表現される伝統美~

阿波正藍しじら織の歴史を年代別にかんたんに紹介

1191年
- 阿波の旧藩主蜂須賀公の時代に、一般庶民階級の者が絹布を用いることが堅く禁じられていた。

1886年
- 阿波国名東郡安宅村(現在の徳島県徳島市安宅)で、海部ハナがしじら織りの技法を偶然発見し、阿波しじら織が誕生。

明治時代の始め
- 干していた着物がにわか雨に濡れて縮んだことから、独特の凹凸(シボ)が特徴のしじら織が創られた。

昭和53年7月
- 天然の阿波藍料を使用した阿波しじら織が「阿波正藍しじら織」として国の伝統的工芸品に指定された。

阿波正藍しじら織の歴史(詳細)

阿波正藍しじら織の歴史は、1886年に徳島県徳島市安宅で海部ハナによる偶然の発見に始まります。彼女は、たたえ縞がにわか雨に濡れて縮んだことから、生地にできた凸凹に魅力を感じ、これを発展させてしじら織りを考案しました。当時、阿波国では庶民が絹布を用いることが禁じられていたため、木綿織物に様々な工夫が凝らされていましたが、しじら織は特にその一例として発展しました。この新しい織物は、軽くて肌触りがよく、涼しく、特に夏の普段着として庶民に広く普及しました。

阿波しじら織は、その特徴である独特の凹凸(シボ)を、縦糸と横糸の張力差を計算して作り出す技術によって生み出されます。この技術は、シボがあることで肌触りが良く、汗をかいても肌に張りつかないなどの利点をもたらし、夏のクールビズ衣料としても重宝されています。

阿波国では、江戸時代中頃から阿波藍の栽培が盛んに行われており、明治時代に入るまで全国の約四分の一を阿波国で生産していた高品質な藍は、しじら織りにも利用されるようになりました。1978年には伝統工芸品として残され、昭和53年7月には天然の阿波藍料を使用した阿波しじら織が「阿波正藍しじら織」として国の伝統的工芸品に指定されました。これにより、阿波しじら織はその技術と伝統を認められ、現代においても夏から秋にかけての衣料やインテリアなど、現代の生活に馴染む作品を生み出し続けています。

-阿波正藍しじら織